車に乗っているときに・・・
「車内の会話が聞こえづらい」
「高速で走っていると車内からガタガタ音が聞こえる」
「窓ガラスからヒューヒューと音が聞こえる」
上記の事でお悩みになったことはありませんが?
快適なドライブを楽しみたいのに、そういった騒音は、本当に気になりますよね。
そんなお悩みを解決できるよう、車の内装に携わって20年の筆者が手軽に実践できるDIYから、プロが実践している防音対策をご紹介します。
このページを読み終わるころには車の防音効果、防音対策について愛車に効果的な解決策が見つかるでしょう。
みなさん車を防音したいと思った際に、『そもそも本当に防音対策をして効果なんてあるのだろうか?』
と思っていませんか?
まずはコチラの音をお聞きください。
デットニング 施工前
デットニング 施工後
コチラは防音対策として
BMWに「デットニング」という施工をした後とする前の音の違いを動画で撮影しました。
音の違いが、お判りいただけたのではないでしょうか?
デットニングをしてないとドアをたたいた時の音が、軽い感じがしますよね。
デットニングとは車のドア内部やむきだしの鉄板部分に制振材を張り付けることを言います。
効果としては・・・
外からの音シャットアウトできる。
ロードノイズが抑えられる
ビビリ音が抑えられる
声が聞こえやすくなる
上記のような効果が期待できます。
ドアデットニング
フロアデットニング
このような状態にすれば、必ず防音の効果は得られるといえるでしょう。
防音対策といっても音の原因と、車内の求める状態によって、対策の方法も、対策する場所も変わってきます。
車内の防音で大きく気になるのは以下の5個です。
・ロードノイズ
・スピーカー音質
・ビビリ・きしみ音
・風切り音
・雨音
ではひとつずつ原因と対策を確認していきましょう。
2-1 ロードノイズが気になる
ロードノイズとはどんな騒音か
舗装が不十分な道や、高速道路を走る際に特に気になる音です。
まずは、ロードノイズ音がする主な原因をご紹介しましょう。
ロードノイズが起こる主な原因は2つあります。
① タイヤと路面の摩擦音が原因
② 小石や水しぶきが跳ね、車体の内側にあたる。
① タイヤと路面の摩擦音
路面からタイヤに伝わる振動が、サスペンションを介して車内に伝わります。
高速道路などで、道路の継ぎ目で「パカン、パカン」といった音を聞いたことがある人も多いと思います。それは道路の継ぎ目に乗った時にタイヤの中の空気が振動し共鳴している音なのです。
その他にタイヤの劣化が原因の場合もあるので注意しましょう。
② 小石や水しぶきが跳ね、車体の内側にあたる
悪路や雨の中を走っていると、タイヤが、砂利や水しぶきが巻き上げ車体に跳ねる事があります。その音が思いのほか車内に響き、ロードノイズという形で騒音として感じるのです。
ロードノイズに対する効果的な対策方法5個
ロードノイズを軽減するには床とタイヤハウスに防音対策が最も有効です。
※タイヤハウスとはタイヤの上の上部の鉄板部分です。
出典CAR-LOG
ではどういった対策がいいのか一つずつ見ていきましょう。
対策①:床(フロア)やタイヤハウスに制振材を使用する
DIYで解決する方法として・・
車内の床に低減マットを引く。
出典:アマゾン ロードノイズ低減マット
低減マットは、タイヤ付近の床に引くことにより、ノイズが低減します。
マットを引くことによりロードノイズが遮断されます。
価格:1200円~
手間:3時間~
対策②:デットニングスプレーをタイヤの周辺に吹き付ける
出典:タイヤハウス静音スプレー
タイヤハウス内、車体の下回り、ドア内側へ塗ることにより路面やタイヤハウスからくるロードノイズが車内に侵入するのを防ぎます。
価格:1,500円~3,000円
手間:3時間~
対策③:静粛性の高いタイヤに交換する
タイヤの性能でロードノイズは思った以上に静かになります。
タイヤの材質(やわらかさ)や、溝のパターン、角度などで静音性が変わるのです。
各タイヤ販売会社は、静音に優れたタイヤを研究し販売しています。
タイヤの交換時に静音性の高いタイヤに変更するのも対策として検討してみましょう。
タイヤからでるロードノイズの仕組みはコチラを参考にしてみてください。
静音性に優れたタイヤ
商品名:レグノ
タイヤ内部にほどこされたノイズ吸収シートや、タイヤの摩耗時に比例して大きくなるノイズに対し、摩耗時でも高い静粛性を維持するために、新たなトレッドパタン技術を開発して。高い静音性を確立しています。
商品名:アドバンデシベル
解説:タイヤの溝と溝との間が狭く複雑なパターンがほどこされています。
ヨコハマタイヤが研究を重ねたこのパターン技術によりタイヤが地面を叩く際音が分散され高い静粛性を生み出しています。
商品名:ビューロ
解説:特殊吸音スポンジをタイヤ内に入れることにより従来の技術では解決することが難しかった「空洞共鳴音」の低減に成功。
ダンロップ独自の技術で高い静音効果を出すことに成功しました。
価格:1本13,000円~
手間:4本で2時間程度(タイヤの交換だけを業者に頼む場合は別途費用が掛かります。)
プロで解決する場合
プロで対策すると、値段はかかりますが、手間と細部までのクオリティを考えるとプロでの対策が一番有効と言えるでしょう。
対策➃:タイヤの周り(タイヤハウス)にデットニングを施工する。
タイヤハウス内の車体フレームに制振シートを貼って、振動を抑えるのが有効といえるでしょう。
タイヤハウスとはタイヤと車体の間の部分を言います
。
提供:みんカラ
このタイヤハウス部分にデットニング材を貼ることにより、走行中の摩擦音などが素材に吸収され耳障りなロードノイズを軽減します。
最近の車は軽量化のためこのタイヤハウスの鉄板が薄くできています。
デットニング材をつけることにより、鉄板に厚みが出て静音に効果を発揮します。
価格:Mサイズ タイヤハウスデットニングで 4万円~
時間:1日~2日
対策⑤車の床とトランクルームをデットニングする
トランクルーム
床
車の床や、トランクルームに、デッドニング材を張り付けることにより、高周波のノイズを抑え、外部侵入するノイズを遮断でき静音効果がアップします。
価格(Mサイズの車):床のデットニング7万円~,トランク5万~
時間:3日
デッドニング作業施工の様子
2-2 スピーカーの音質を向上させたい
スピーカーの音質を向上する解決法
まずは、防音効果や静音対策をしたスピーカーのデモ音を聴き比べてください。
防音対策をしているとスピーカーの音が外にもれなくなっているのがお分かりいただけたのではないでしょうか?
車内の音楽が、快適に聞こえない理由とは・・
主な原因はいくつかありますが、防音という観点からいうと大きく
2つあります。
①音楽が車内で響いてしまう
②ロードノイズとスピーカーの音が被って打ち消し合う
ではこの2つの原因と対策を見ていきましょう。
① 音楽が車内で響いてしまう原因
ドア内部の空洞が大きな原因です。
車のドアの内部は軽量化のため鉄板に沢山穴が開けられています。
その穴が原因でスピーカーの音が漏れてしまい音楽の音が、鉄板が共振したり、本来の音が出しきれなかったり、低音だとビリビリとして割れるような音が出てしまいます。
②ロードノイズとスピーカーの音が被って打ち消し合う
室内の雑音が大きいためスピーカーの音が聞こえないのが原因です。
走行時には、エンジン音や窓の風切り音。鉄板に沢山穴から侵入するロードノイズなど、様々な雑音が穴を通じて室内に入ってきます。
スピーカーから出る音がそういった車内の雑音に打ち消され、音の聞こえを悪くしてしまっているのです。
音を良くする効果的な解決策
ドアにデットニングをする
音質の改善にはドアデットニングが一番効果的です。
ドアの内側にデットニング材を貼ることにより音の反響を防ぐ事が出来ます。
先ほどの動画でも見て頂いたようにこのように車内空間を密封することにより外の音はもとより車内の音の反響も抑え、スピーカー本来の音を最大限に発揮します。
ドア内の様子
デッドニング施工前
デッドニング施工後
それでは、ドアデットニングをDIYで解決する場合を見てみましょう
ドア内は割と簡単にはがせますので、専門のキッドなどを購入し安く手軽に、内ドアに静音効果を測ることが出来るでしょう。
オーディオテクニカ(audio-technica) AquieT(アクワイエ)ドアチューニングキット ドア2枚分 AT7405
必要な道具がセットになって販売している場合も多いので、別途道具を買いそろえる必要がないのも魅力です。
とはいえ、ドア内にデットニング材を貼る場合、間違った場所などに貼ると音がくぐもったり、効果がなかったり、逆に音質が悪くなる場合もあります。
車種やスピーカーの種類でも、貼る位置などが変わってきますので心配な方はプロショップにお願いすることをお勧めします
価格:1万2000円~
時間:半日程度
プロショップでドア内にデットニングを貼った場合
初めに制振に特化した素材を貼り制振をしていきます。
完了したのち、その上から吸音、遮音シートをかさねて貼ります。
音楽の音漏れや、車外からのロードノイズの侵入を軽減できます。
プロの場合は車にあった制振材や、お客さんの求める状態に沿ったデットニングの施工をするので、効果も絶大といえるでしょう。
2-3 ビビリ・きしみ音が気になる
ビビリ・きしみ音がするとはどんな症状か
車を走らせていると、車内から「ビビビビビ」や「ジジジ ジジ」、小刻みに刻む「カタカタ」といった音がでているととても気になりますよね。
ビビリ音
一度気になると耳障りでストレスがたまる嫌な音です。
まず、なぜビビリ・きしみ音がするのか?
主な原因を3つご紹介します。
① ダッシュボードとフロントガラスからの異音
② ドアやハッチの摩擦音
③ 内張りとドアが接触して擦れる音
① ダッシュボードとフロントガラスからの異音
フロントガラスとダッシュボードに隙間が発生しそのガタつきから、異音が出ています。
この音を解消するには隙間を埋めることで解決します。
DIYで解決する場合
ゴム状のチューブをすきまに埋めることをおススメします。
出典:エーモン 静音計画 ビビリ音低減モール ダッシュボード用 約1.5m 2676
価格:800円~
時間:30分~
② ドアやハッチの摩擦音
ドアやハッチの内側の部品がカチカチとぶつかり異音を鳴らすことがあります。
出典:みんから
ビビリ音・きしみ音に対する効果的な対策方法は音が鳴らないようにクッションをはさむ事が有効といえるでしょう。
先ほど写真でお伝えした場所に、シリコンシールを貼りぶつかる音を吸収します。
出典:静音計画 きしみ音低減テープ ドア・リアハッチ用
③ 内張りとドアが接触して擦れる音
ドアの内側で配線などがぶつかっている可能性があります。
価格:600円~
時間:30分~
「 2-2 スピーカーの音質を向上させたい」でもお伝えしましたが、車のドアの内側は空洞です。
その内側のドアの中はいろいろな配線やねじ等も存在しています。
こういった配線、または緩んだネジが車を走らせているときにぶつかっている可能性があるので中を確認してみましょう。
解決策としては、ドア内側のデットニングをおススメします。
対策①:ドアデットニングをする
2-2でお伝えしたデットニングを参考にしてください。
プロにお任せする場合はまずきしみ音やビビり音がどこから出てくるのか確認してもらいましょう。
音の付近を確認し、しっかりデットニングすることできしみ音やビビリ音が低減します。
2-4 風切り音がきになる
風切り音とはどんな音か
ドアの隙間から「ヒューヒュー」と隙間風のような音が聞こえてきたことはないでしょうか?
この音の原因はずばりドアの隙間のゴムの不具合から起こります。
解決策としては・・
ゴムを新しくするまたはドアエッジなどに新しくゴムを追加するのをお勧めします。
ここのゴムの部分の緩みや、劣化することでヒューヒューとした風切り音が室内に侵入してきます。
ドアエッジ部分に防音材を張ることで風の侵入を抑えることができます。
出典:エーモン 静音計画 風切り音防止モール ドア用
ドアのエッジ部分に挟むだけカンタンにフロントとリアドア間の風切り音を低減します。
価格:700円~
時間:2時間~
2-5 雨音が気になる
雨音とはどんな音か
激しい雨が車のルーフに当たるとうるさいだけでなく、カンやコンといった金属で叩くような音が聞こえてきます。
雨音がうるさい原因は車の屋根の薄さにあります。
自動車の屋根は軽量の鉄板が使われています。
この鉄板は、少し手で押しただけでも凹んでしまうほど薄くできています。
ここの雨が当たるとダイレクトに車内に響いてしまうのです。
雨音を低減する対策
雨音を抑えるには先ほどの天井(ルーフ)の防音対策をする必要があります。
方法としては天井のデットニングが一番効果的です。
天井を剥がした状態
制振材で天井を補強
吸音材を張り付け
このようにデットニング材をはり、さらにスポンジを敷き詰めることで雨音を吸収します。
価格:10万円~
時間:2日~
2-6 エンジン音が気になる
エンジン音がうるさい原因
エンジン内の摩擦音や、エンジンをかける発火の音が原因です
沢山の部品でできているエンジンは摩擦音や、接触音が多く出ます。
特にディーゼル車などはうるさく感じるでしょう。
ディーゼル車はエンジンをかける際、発火の仕組み上、強い振動が発生します。
この振動が車内や車外に騒音となって発生するのです。
エンジン音に対する効果的な対策方法
エンジンルーム内で発生している音を吸収することが効果的です。
エンジンの音を小さくすることはできないのでボンネットから出るエンジン音を抑えましょう。
DIYで解決する場合
簡易的な防音シートをエンジンルームに張ることによりエンジン音が低減します。
エンジンルーム静音シート 静音計画 デッドニング エーモン工業
価格:3000円~10000円
時間:2時間~
プロにお願いする場合
デットニング材を貼り、その上からもしっかり音を吸収できる、スポンジも貼り付けます。
材料の種類や的確な場所を選んでデットニングできるのはプロの力を頼った方が賢明でしょう。
簡易的であればDIYをお勧めしますが、音が余りにも大きい場合はプロにお任せしましょう。
価格:25000円~
時間:半日
皆さん、いかがでしたか?
車の防音対策といっても原因によっては防音する場所も部品も全く違います。
お悩みを解決するには自分でできることもありますが、プロで対策する方が断然効果を発揮できます。
プロでやるメリット
手間がかからない
効果的な防音対策ができる
車を解体する作業も発生するので、部品を壊す心配がない
デメリット
費用が掛かる(価格はドアだとDIYの5倍以上)
車を何日か預ける
しかし、デットニングはきちんと施工できているか判断するには素人には難しい場合もあります。
以下の施工事例は、量販店にて防音対策をお願いしたにもかかわらず、「音漏れが気になる」ということで弊社アイアイシーにご依頼を頂きました。
実際にドアの内側を確認すると防音材がはがれていました。
防音・制振効果を高めるはずが、はがれて内部で落ちしてしまっていたら異音が発生してしまい本末転倒です。
また吸音材(スポンジなど)を一切施工していないのもわりました。
量販店が施工したはがれた状態のデットニング材。
はがれたデットニング材を綺麗に除去しやり直しです。
ドア内部に防音材を綺麗にはっていきます。
その外に更に防音材をはり最後に吸収するためスポンジも施工。
ここまでしっかり施工できるには施工技術なども大事になってきます。
愛車の騒音の原因をしっかり突き止めて効果的な防音対策をし、快適なカーライフを楽しみましょう。
その他に、実際にプロで施工した防音対策はこちらをご覧ください。
この記事を書いた人
氏名:小川一太郎(おがわ いちたろう)
役職:技術部課長
専門:カーオーディオ・デッドニング・スピーカー交換
高校卒業後、カー用品店にて社員として23歳まで4年間半電装担当としてカーナビやカーオーディオの取り付けを行っていました。その時は難しい車や、外車などは外注業者が取り付けをしていたため、私も技術力を高めたいと思い、外注業者に転職し、関東各地のカー用品店にて外注として勤務していました。その後、個人事業主として都内高級車ディーラーなどよりご依頼頂いた作業を出張にて行っていました。現在では、輸入車などのカー用品店では難しいとされる車のスピーカー交換やデッドニングを得意とする。