地球環境問題が騒がれている昨今、CO2削減や自動車メーカーのコスト削減に伴い自動車の軽量化で鉄板が薄くなっています。そのため、ロードノイズと言われる騒音が増えデッドニングの需要が高まっています。
DIYデッドニングを行うことで、これらのロードノイズを対策出来ると同時に、音質向上や遮熱効果などを得ることが出来るのです。
この記事では、DIY(自分で)デッドニングを行うポイントについてお伝えさせていただきます。
DIYデッドニングのポイント
・デッドニング材の種類で得られる効果が異なる
・デッドニング作業の方法と手順について
上記の2点を理解した上でDIYデッドニングを行うことで成功のカギとなるのです。
目次
1 DIYデッドニングは目的を明確にし、最適な作業を行うことが大切
1-1 デッドニングは目的に沿った最適な作業が大切
2 DIYデッドニングの最適な施工方法
2-1 音質を向上させるための最適な施工箇所
2-2 ロードノイズ対策に最適な施工箇所
2-3 遮熱、断熱対策に最適な施工箇所
3 準備するデッドニング材の素材と道具
3-1 制振効果のデッドニング材
3-2 吸音効果のデッドニング材
3-3 遮熱、断熱効果のデッドニング材
4 デッドニングの施工方法
4-1 ドアデッドニングの施工手順
4-2 天井デッドニングの施工方法
4-3 フロアデッドニングの施工方法
4-4 ラゲッチスペースの施工方法
4-5 タイヤハウスの施工方法
4-6 エンジンルームの施工方法
5 DIYデッドニングでよく頂く質問(Q&A)
5-1 デッドニング材の耐久性は?
5-2 デッドニング後にドアロックが効かなくなってしまった
5-3 デッドニングを張ると燃費が下がりますか?
5-4 サービスホールの最適な塞ぎ方
デッドニング作業を成功させるためには、まず、目的を明確にして、目的に沿って材料を選ぶことが重要となります。何故なら、デッドニングとは求める効果によって張る材料が異なるからです!
【デッドニングを行う目的】
・制振性を高めることでロードノイズを軽減する
・サウンドシステムの音質向上
・断熱性を高めることで暑さ対策を行い、車内空間を快適にする
上記、3つの目的によって、施工箇所や準備する材料が変わっていくのです。
1-1 デッドニングは目的に沿った最適な作業がとても大切です
先ほど述べた通り、デッドニング作業は得たい効果に併せて張る材料を選別する必要があります。デッドニング材の特性を理解した上で施工することによって、快適なカーライフを楽しむことが出来るのです。
目的は3つ
・ロードノイズの軽減
・サウンドシステムの音質向上
・遮熱、断熱対策
目的1「サウンドシステムの音質向上」
サウンドシステムの音質向上を行う際にはドアパネルに制振材と吸音材を貼り付けることでスピーカー本来の性能を発揮することが可能となります。振動で発生する周波数帯の音や車外から進入する騒音も特定の周波数帯が車内に侵入します。ドアパネルにデッドニングを行うことで、スピーカーから発せられる周波数帯を聞き取りやすくすることが出来るのです。
<サウンドシステムの音質向上に最適な施工箇所>
①ドアパネルに制振材と吸音材を貼り付ける。
目的2【ロードノイズの軽減】
ロードノイズ対策有効なのが制振材です。
ロードノイズは主にタイヤから伝わる振動が車体の鉄板部分に共振されてノイズが発生します。また、車外から進入する騒音をカットすることでロードノイズ対策が期待できます。
また、振動による共振や騒音を抑えることで音質向上にも有効です。
<ロードノイズ対策で使用するデッドニング材>
①制振材(鉄板部分の振動による共振を抑える)
②吸音材(車外からの騒音をカットする)
目的3【断熱、遮熱対策】
遮熱材と断熱材は混同しがちですが、効果は全く異なります。
【遮熱材と断熱材の効果の違い】
・遮熱材とは熱を反射されること
・断熱材とは熱伝導を遅くする
長時間に渡り熱伝導を検証したところ、長時間放置すると遮熱材の方が車内の温度が低いことが結果として分かりました。
ロードノイズや音質向上とは全く関係ありませんが、遮熱、断熱効果を高めることで、車内空間を快適にすることが可能となります。暑さ対策の際には遮熱効果の高い製品を選ぶことが重要と言えます。
<遮熱、断熱対策に有効なデッドニング材>
①遮熱材(熱を反射するデッドニング材)
②断熱材(熱の伝達を遅くするためのデッドニング材)
デッドニングの目的を明確にしたら張る材料と施工箇所を決めていく必要があります。
デッドニングが施工できる箇所はルーフ、ドアパネル、フロア、エンジンルーム、ラゲッチスペース(トランク)、トランクゲート、タイヤハウスに施工が出来ます。
【重要なこと】
・目的に併せて材料を用意する
・目的に併せた施工箇所を選定する
2-1 音質を向上させるための最適な施工箇所
音質を向上されるために、最も有効な施工箇所はドアパネルです。
ドアパネルの鉄板部分には複数の穴が開いているため気密性が悪く、音が抜けてしまいます。また、スピーカーから排出される音が鉄板部分に共振してしまうため、ビビり音が発生します。
ドアパネルに空いた穴を塞ぐことで1つの箱にしてあげることができるので音を排出する力が強くなります。
音質を高めるポイントは3つ
・スピーカーから発する音をドア内部の鉄板に共振させないこと
・ドアを密閉することで1つの箱にしてあげることで音に迫力が生まれる
・車外から入り込む騒音をカットすることで音をクリアにする
3つの対策を行うことでスピーカー本来の効果を発揮させ、音質向上につながるのです。
音質向上に直結するのがドアデッドニングですが、車内全体にデッドニング(制振材と吸音材)をすることで、ノイズを軽減し音質向上につながります。
2-2 ロードノイズ対策に最適な施工箇所
ロードノイズを軽減するため最適な施工箇所は、上記の箇所のデッドニングを行うことで、制振性が向上しロードノイズを軽減することが可能となります。
ロードノイズとは、自動車が走行する際にタイヤと路面の刺激によって発生する振動が原因でノイズが発生します。この振動がタイヤからサスペンションや鉄板を通して車内に伝達されます。主に、足回り(タイヤ)から伝わり、フロア、ドアパネル、ルーフへと伝達されてしまいロードノイズが発生するのです。
ロードノイズの周波数帯とは?
ロードノイズの周波数帯は20~500Hzとされています。この車内に伝達される周波数帯を制振、吸音、遮音してあげることでロードノイズが軽減されるのです。
ロードノイズを軽減することにより今までノイズでかき消されていたスピーカーから排出される周波数帯の音を聴きやすくしてあげることにつながり、音質向上にも繋がります。
ロードノイズの軽減で音質向上にもつながる
有効な対策の方法
①制振効果を高めることで振動を軽減
②吸音、遮音効果を高めることで雑音を吸収
2-3 遮熱、断熱対策に最適な施工箇所
断熱、遮熱対策に最も有効な箇所はルーフやフロア部分のデッドニングです。
直射日光は主に上面に当たります。夏場の炎天下に車を駐車していると塗装面の温度は黒系の車では80℃前後の高温になります。地球温暖化が進む現代では必須作業と言っても過言ではありません。
施工箇所は、主にルーフやフロア部分に遮熱材、断熱材を施工するのが理想です。
遮熱材、断熱材で得られる効果
① 車外から進入する熱を吸収or反射
② 車内の温度を車外に排出させない
エアコンの効きが良くなり、冷暖房の効果が高まります。
使用する道具
デッドニング材を貼り付ける時は下記の道具が必要となります。
名称 | 用途 | 費用 |
ハサミ類(カッター、ハサミ) | デッドニング材を切る際に使用 | 456円 |
内装はがしツール | つめ外し(クリップや内装を外す際に使用) | 836円 |
ローラー | デッドニング材を貼り付ける際に圧着させる | 684円 |
ドライバー | 内装パネルのネジを外す際に使用 | 634円 |
ラチェット | 内装パネルのナットを外す際に使用 | 1,300円 |
シリコンオフ | 鉄板部分の洗浄(脱脂)作業 | 709円 |
マジックペン | デッドニング材をカットする際に印をつける | 289円 |
※参考価格2019年3月16日現在
※工具はオートバックスなどの量販店でも揃えることができます。
上記の道具があればデッドニング初心者でも簡単に施工できます。
3-1 ロードノイズ対策に有効なデッドニング材
ロードノイズ対策に有効な材料はアクワイエのダイピングアブソーバーです。
この商品は制振ブチルゴムと制振用アルミシート、吸音スポンジ層の3層構造になっているため、ロードノイズ対策に非常に有効です。
従来の制振材 | 【アクワイエ】 ダイビングアブソーバー | |
制振性能 | 小 | 高い |
難易度(施工性) | 簡単 | 少々大変 |
価格 | 安価 | 高額 |
耐久性 | 普通 | 高い |
ダイピングアブソーバーの特徴
従来のデッドニング材に比べ制振効果が高い
制振材のデッドニングの価格
商品名 | サイズ | 1枚の価格 | ドア1枚当たりの使用量 |
アクワイエ ダイピングアブソーバー |
500×450 | 4,000円 | 2枚 |
3-2 音質向上に最適なデッドニング材
音質向上を行う場合は制振材を張った後に吸音材を張ることをおすすめします。
サウンドシステムの音質を向上させるためにはノイズを減らす必要があります。ドアから車外の騒音を車内に入ってしまうことで、スピーカーから発せられる音(特定の周波数帯)を打ち消してしまうため、音質が悪く感じるのです。
音質向上に最適な吸音材
吸音材でおすすめの素材はアクアイエのアブソーブウェーブがおすすめです。
吸音効果のデッドニング材の価格
商品名 | サイズ | 1枚の価格 | ドア1枚当たりの使用量 |
アクワイエ アブソーブウェーブ |
500×450 | 2,200円 | 1.5枚 |
吸音材の効果
・音を吸収するため騒音をカットする(ロードノイズの軽減)
・音の跳ね返り(反射)を抑えることで位相のズレを無くす(サウンドシステムの音質向上)
3-3 遮熱、断熱効果のデッドニング材
夏場の炎天下による暑さ対策には遮熱材や断熱材が有効になります。施工する箇所は主に天井(ルーフ)に施工します。ルーフの施工する際には制振材を貼り付けて制振効果を高めた上で遮熱材や断熱材を貼り付けることでノイズを軽減し、断熱効果を得ることが出来るのです。
鉄板部分から侵入する熱を断熱材や遮熱材が吸収or反射させることで断熱効果が高まり快適な車内空間が実現できます。
遮熱材でおすすめの素材はSTP Aero Flex6がおすすめです。
遮熱効果のデッドニング材の価格
商品名 | サイズ | 1枚の価格 | ドア1枚当たりの使用量 |
STP AeroFlex 6 | 500×375 | 1,700円 | 2枚 |
それでは、デッドニングの施工方法についてご紹介していきます。
まずは、改めてデッドニングを行う目的を再確認しましょう!
【デッドニングの目的】
・ロードノイズ対策
・サウンドシステムの音質向上
・遮熱、断熱対策
目的別 デッドニングの施工箇所と優先順位 | ||
ロードノイズ対策 | サウンドシステムの音質向上 | 断熱、遮熱対策 |
①ドアデッドニング ②フロアデッドニング ③ルーフデッドニング ④ラゲッチスペース ⑤トランクゲート ⑥エンジンフード ⑦タイヤハウス |
①ドアデッドニング | ①ルーフデッドニング ②フロアデッドニング ③ドアデッドニング |
上記の作業においてデッドニングを施工する際は大まかにわけて4工程となります。
①内装パネルのばらし
②脱脂剤にて油分の除去
③デッドニング材のカッティング
④デッドニング材の貼り付け
デッドニングを施工する際には目的別に施工を施す必要があります。
張る材料は変わりますが、施工方法は極端に変わらないため、箇所別に施工方法をお伝えしていきます。
4-1 ドアデッドニングの施工手順
【ドア4枚のデッドニング作業時間】
カット済みのデッドニング材 5時間
自分でカットする施工方法 7時間
・作業時間を短縮したい場合は予めカットされた素材がおすすめです。
・より高い効果を期待される場合は自分でカットする施工方法がおすすめです。
(前工程編)
ステップ1 内装のクリップ&ネジ外し
ドアパネルはネジやつめ(クリップ)がついているので、つめ外しなどの工具とドライバーを使用して内装がとまっているネジやクリップを外していきます。
※つめ外しを使用すると簡単に取り外せます
ステップ2 ドア内貼り外し
ドアパネルはクリップでついているので、ネジ類の取り外しが完了したら、ヘラなどを使用して、てこの原理で内装パネルを外します。
※クリップで止まっているので少々力を入れて外しましょう!
※一点に力を入れてしまうとつめが折れたり、ドアパネルの破損に繋がりますので注意しましょう!
ステップ3 サービスホールのビニールの型取り
内装パネルを外すとサービスホールにビニールが貼り付いています。これは、気休めですが、共振を抑えるための処置となります。
これは不要になるので剥がすのですが、その前にデッドニング材をカットするための型取りを行うためにサービスホール部分をビニールテープに印をつけていきます。
ビニールを剥がした後は印より外側にカットしていきます。
デッドニング材をカットしたビニールテープに沿ってハサミでカットします。
ステップ4 鉄板部分の掃除(脱脂作業)
ドアパネルは油などの汚れが付着しているため、デッドニング材の貼り付きが悪くなります。
貼り付きが悪い段階でデッドニング材を張ってしまうと、すぐに剥がれてしますため、脱脂材(シリコンオフやパーツクリーナー)を使用して洗浄していきます。
(アウターパネル編)
アウターパネルとは外側の鉄板部分を言います。
ステップ1 制振材の貼り付け作業
デッドニング材を張る際には2パターンあります。
①予めカットされているものを使用する
【予めカットされた制振材を貼り付けるデメリット】
・形状に合わせて制振材を張るよりも制振効果が低くなる
【予めカットされた制振材を貼り付けるメリット】
・カットする手間が省けるため、施工時間の短縮が出来る
②ドアの形状に合わせて大きめにカットしたものを貼り付ける
施工性は①の方が簡単ですが、効果性は②の方が高くなります。
隙間を空けて制振材を張るよりも、鉄板部分を全体的に制振材で補強した方が制振効果を高めることが可能です。
【形状に合わせて制振材を貼り付けるデメリット】
・カッティングする時間が余分にかかる
【形状に合わせて制振材を貼り付けるメリット】
・プロ同等の仕上がりを期待できる
・制振効果が高まるため、ロードノイズ対策や音質向上に有効
ステップ2 圧着作業
デッドニング材を貼り付ける際に勘違いされがちなのが、ただ単に制振材を張るだけで効果が得られると勘違いされている方がいます。
制振材は鉄板部分にしっかりと圧着させないと、効果を最大限発揮することが難しくなります。
【プラスチックヘラ】
【ローラー】
プラスチックヘラやローラー等を使用してデッドニング材を貼り付ける際にはローラーやヘラを使用してしっかりと圧着させていきます。ただ単に貼り付けただけでは制振材の効果を最大限引き出すことは出来ません。
ヘラやローラーを使用して確実に圧着させることで制振効果が高まります。
ステップ3 最終仕上げ
端部分やクリップ周辺のデッドニング材の余りを(余分な箇所)カッターなどを使用してカットして作業完成です。
(インナーパネル編)
ステップ1 制振材の貼り付け作業
インナーパネルの作業工程はアウターパネルとやり方は一緒です。予めカットしたデッドニング材をサービスホール部分に貼り付けていきます。
サービスホールだけを埋める作業でも十分な効果を得ることが出来ますが、全体に張ると更に制振性が向上します。
より高い効果を期待される方にはアウター部分のパネル全てに制振材を張ることでより制振効果が向上します。全体に張ることで材料費は高くなりますが、こだわるならこちらのやり方がおすすめです。
ステップ2 ドアパネル(内張)への吸音材貼り付け作業
吸音材を適当にハサミでカットしてドアパネルに吸音材を貼り付けます。
吸音材を貼り付けることで外部の騒音をカットすることが可能となり、音質向上やロードノイズ対策が期待できます。
4-2 天井デッドニングの施工方法
天井のデッドニングをやろうと考えている方!
まずは、心の準備が最も重要です。ルーフを外す作業だけでも1~2時間は最低でもかかります。
施工後にルーフを戻す時間を入れると2~4時間はかかりますので時間に余裕を持って作業することが重要です。
ステップ1 内装パーツの取り外し(サンバイザー、ルームランプ、ピラー)
ルーフを外すために、まずは、Aピラー、Bピラー、Cピラーの内装を外していきます。
その後、ルームミラーや室内灯、バイザーを外していきます。
ルームランプを取り外す際には、つめ外しやヘラを使用して外します。
サンバイザーはネジ等を使用して外しましょう!
ステップ2 ルーフの取り外し
ルーフを取り外すと接着剤や制振材(簡易的なもの)を剥がしていきます。
この時にはシリコンオフやヘラ等を使用して剥がしていきます。
ルーフを外す際には、天井パネルを極端に曲げてしまうとしわの原因となりますので注意しましょう!
ステップ3 制振材の貼り付け(ロードノイズ対策&音質向上)
予めルーフの形に併せて制振材をカットしていきます。
その後、制振材を天井に貼り、ローラーやヘラを使用して確実に圧着させていきます。
これで、制振効果は確実に得られ、ロードノイズ対策や雨しぶきの音も軽減することが出来ます。
この作業で得られる効果
・制振性が向上しロードノイズの軽減
・雨しぶきの音を軽減
ステップ4-1 吸音材の貼り付け(ロードノイズ対策&音質向上の場合)
吸音材を張ることで外部進入する騒音をカットするため、車内空間が劇的に向上します。
天井とルーフパネルのクリアランスが無い車両は2重構造(制振材&吸音材)で施工するとルーフパネルが戻らなくなる可能性がありますので予め確認しておきましょう!
ステップ4-2 遮熱材の貼り付け(断熱対策の場合)
断熱効果を期待する方には、制振材の上に遮熱材を貼り付けると車内に進入する熱をカットするだけでなく、車内の温度を外部に放出しないため、断熱効果が向上するのです。
【作業時間】
制振材のみ(ルーフ脱着含む) 6~7時間
制振材&吸音or断熱材(ルーフ脱着含む) 7~8時間
【注意点】
天井のクリアランスが無い場合は2重で貼り付けることでルーフが元に戻らなかったり、ルーフの生地にシワがよる恐れがあるので予め確認しておきましょう。
ステップ1 内装パネルの脱着
内装パネルはツメかネジで止まっているケースが多くツメ外しとドライバーさえあれば簡単に外すことが出来ます。1つ1つ丁寧にネジやクリップ、ツメを確認しながら取り外していきましょう!
ステップ2 シートの取り外し
内装パネルの脱着が完了したらシートを外していきます。
シートの付け根にカバーがあるのでツメ外しやヘラを使用して外していきます。
その後、ラチェットを使用してネジを外していきます。
ステップ3 制振材の貼り付け(ロードノイズ対策&音質向上)
車内の内装パネルやシートを取り外したら、制振材を貼り付けていきます。
制振材を貼り付ける時のポイントですが、カーペットは取り外さないことです。
カーペットを取り外てしまうと元に戻す際に綺麗に仕上がらなかったり、戻す際の作業時間がかかります。施工する箇所に併せて、少しづつカーペットをめくって施工すると時間の短縮になり、綺麗に仕上げることが可能となります。
【制振効果と吸音効果にこだわるならダイビングアブソーバー】
フロア部分は制振材のみの施工で問題ありませんが、こだわるなら(アクワイエ) タイピングアブソーバーがおすすめです。
フロア部分はクリアランスがあるため、厚みのある素材の施工も適しています。
タイピングアブソーバーは吸音性と制振効果を得ることで出来るためフロアデッドニングに有効です。
ステップ4-1 吸音材の貼り付け(ロードノイズ対策&音質向上)
制振材を貼り付けた後に吸音材を貼り付けることでロードノイズ対策と音質向上が期待できます。
この作業を行うことで、タイヤの振動(ノイズ)とエンジン音やマフラー音を軽減することが可能となります。
①制振材を貼り付ける
②吸音材を貼り付ける
ステップ4-2 遮熱材の貼り付け(断熱対策)
遮熱材を貼り付けることで遮熱効果が高まります。
・アスファルトの反射による熱を反射してくれる
・マフラーの熱を反射してくれる
【フロア部分の作業時間】
制振材のみ 5~6時間
制振材+吸音or遮音 7~8時間
慣れている方はもう少し早いかも知れませんが、初めて施工する方はこれくらいの時間が必要です。
【注意点】
ネジやクリップなどと取り外したものを戻す際にネジやクリップが余る可能性があるので、予め携帯などでネジの有無を写真で撮影しておくことをおすすめします。
また、ネジにマスキングテープなどで印をつけておくとよいでしょう。
4-4 ラゲッチスペースの施工方法
ラゲッチスペースとはトランク部分を言います。
ラゲッチスペースの荷台を取り外すとスペアタイヤや工具が積んでいるので外していきます。
ラゲッチスペースのデッドニングは、さほど大変ではありません。
スペアタイヤなどを取り外した後は脱脂作業を行い、デッドニング材を貼り付けるだけです。
ステップ1 制振材の貼り付け
10cm四方程度にカットした制振材を鉄板部分に貼り付けていきます。
これでラゲッチスペースのデッドニングは完成です。
より効果を高めるなら、吸音材or遮熱材を張ることをおすすめします。
ステップ2 吸音材or遮熱材の貼り付け
制振材の上に吸音材や遮熱材を貼り付けることでより効果が向上します。
ついでに、トランクゲートも施工するとよいでしょう!
【作業時間】
制振材のみ 1~2時間
制振材&吸音or遮熱材 2~3時間
4-5 タイヤハウスの施工方法
タイヤハウスのデッドニングはリフトやジャッキがないと施工が出来ませんが、最も効果が高い箇所になります。ロードノイズは基本的に足元から車内に伝わります。
タイヤから一番近いタイヤハウスにデッドニングをすることでより効果が高まります。
国産メーカーの大半はタイヤハウスがプラスティック素材のため砂利の巻き上げなどでノイズが発生します。スプレー缶のデッドニング材が販売されているので、それをタイヤハウスの裏側(鉄板部分)に施工するとよいでしょう!
エーモン 制音計画
缶スプレータイプの制振材です。
これをタイヤハウスに吹きかけるだけで簡単に制振効果が高まります。
ステップ1 ジャッキでホイールを外してサスペンションに養生
サスペンションにデッドニング材がかかってしまうと危険ですので必ず養生を行って下さい。
ステップ2 缶スプレーで制振材の塗布
タイヤハウスの鉄板部分に缶スプレーでデッドニング材を噴霧したら2時間程乾燥させて作業完了です。
【作業時間】
2時間前後
4-6 エンジンルームの施工方法
エンジンルームのデッドニングもさほど大変ではありません。
エンジンフードを開けると、鉄板部分に防振シートがクリップで止まっているので、クリップを外し、制振材or吸音材を貼り付けていきます。
ノイズの軽減なら制振材を貼り、エンジン音の軽減なら吸音材を貼り付けます。
ステップ1 エンジンフードの制振材を外す
エンジンフードには元々制振材がついていますが、クリップで止まっているだけなので、簡単に外すことが出来ます。
ステップ2 制振材の貼り付け
純正の制振材を外した部分に制振材を貼り付けていきます。
この作業でエンジンフードに伝わるエンジンの振動を軽減することが可能となります。
特に、ディーゼルエンジンの振動を大幅に抑えることで制振性が向上します。
ステップ3 吸音材の貼り付け
エンジン音を吸収するために吸音材を貼り付けます。
ディーゼルエンジンはエンジン音が非常にうるさいため、吸音材を貼り付けることで騒音を軽減することが可能となります。
また、夏場のエアコンを使用した際のファンが回る音も吸収することが出来るのです。
【作業時間】
1時間
デッドニング作業施工の様子
デッドニング材の耐久性や約10年程です。ローラーやヘラできちんと圧着されていないと熱や水気で後々剥がれてしまいますので、脱脂作業を確実に行い、丁寧に圧着させてデッドニング材を貼り付けるようにしましょう。
デッドニング時のトラブルでよくあることです。これは、開閉時のワイヤーが内装パーツにしっかり刺さっていないのでドアのロックがかからなくなっています。
もう一度、ドアを取り外して、ワイヤーが刺さっているか確認しましょう。
フルデッドニング(すべての内装にデッドニング作業)を行った場合で、50キロ程増えます。1人分の重さになりますので、若干燃費は変わる恐れはありますが、さほど影響はありません。
サービスホールは隙間ができないようにしっかりと塞いであげれば問題ありません。サービスホール部分の貼り付けではなく、鉄板部分を全体的に作業してあげることでより効果が高まります。
デッドニングを施工する際には下記のポイントを抑えておきましょう
①目的を明確にする
②施工箇所の選定
③材料選び
④材料と道具の準備
⑤デッドニング施工
上記を明確にした上で施工することで、得たい効果を実現することが出来ます。
デッドニングの目的
①スピーカー(オーディオ)の音を良くしたい
オーディオの音を良くしたい場合は(制振効果と吸音効果)をメインに施工することが理想です。制振材を選ぶ時はブチル+アルミ板の構造の材料が良いでしょう。
また、デッドニング材を貼り付ける時には、出来るだけ隙間を減らし、満遍なく制振材を貼り付けることが良いでしょう。そして、施工する箇所はドアのデッドニングが有効です。
②ロードノイズ対策
ロードノイズ対策をお考えの方は制振材と吸音材を組み合わせて施工することが理想です。最も有効な場所は①フロア②天井③ドアとなります鉄板の面積が広い面積程共振しやすくなり、異音の原因となります。
③断熱対策
断熱対策には天井に遮熱材と断熱材を2重で施工することが有効となります。ロードノイズも同時に求める場合は遮熱材と制振材の組み合わせが有効です。
デッドニング施工時のポイント
デッドニング材を貼り付ける際は鉄板部分の脱脂作業を行い、ローラーなどを使用してしっかりとデッドニング材を圧着させていきます。
デッドニングは時間がかかる作業ですが、手を抜かず1つ1つ丁寧に行うことで車内空間が快適になります。
この記事を書いた人
氏名:小川一太郎(おがわ いちたろう)
役職:技術部課長
専門:カーオーディオ・デッドニング・スピーカー交換
高校卒業後、カー用品店にて社員として23歳まで4年間半電装担当としてカーナビやカーオーディオの取り付けを行っていました。その時は難しい車や、外車などは外注業者が取り付けをしていたため、私も技術力を高めたいと思い、外注業者に転職し、関東各地のカー用品店にて外注として勤務していました。その後、個人事業主として都内高級車ディーラーなどよりご依頼頂いた作業を出張にて行っていました。現在では、輸入車などのカー用品店では難しいとされる車のスピーカー交換やデッドニングを得意とする。