ポリマーコーティングメルとデメリット

カーコーティングには、形成される被膜の違いによって複数の種類が存在します。近年主流となっているのはガラスコーティングで、さらに品質の高いセラミックコーティングも認知度が高まってきました。

また、気軽に施工できる「ポリマーコーティング」もあり、それぞれに異なる特徴や施工メリット・デメリットがあります。

この記事では、ポリマーコーティングがどのようなものか、施工のメリット・デメリットを中心に解説します。適性や自分で施工する方法についても紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

ポリマーコーティングとは

冒頭で解説した通り、コーティングは形成される被膜の違いによって、以下の種類に分類されます。

・セラミックコーティング
・ガラス、ガラス系コーティング
・ポリマーコーティング
・ワックス

ポリマーコーティングは、高分子化合物(ポリマー)を主成分とし、樹脂を基盤としていることから「樹脂コーティング」とも呼ばれます。1980年代から人気が高まり、それまで主流であった「ワックス」の美しい艶はそのままに、耐久性が向上しました。

施工性にも優れており、コーティング業界で長年採用されてきた歴史のあるコーティングですが、近年はさらに耐久性の高いガラスコーティングが主流となっています。それでも、ガソリンスタンドやカーショップではメニューとして根強く残っています。

コーティング施工イメージ

ポリマーコーティングのメリット

ポリマーコーティングには、以下のようなメリットがあります。

・施工費用が安い
・キズが埋まりやすくキレイに仕上がる
・DIY施工しやすい
・ポリマーコートならではの艶感が得られる

これらのメリットについて、他のコーティングの性能と比較しながら解説していきます。

施工費用が安い

ポリマーコーティングの一番のメリットと言えるのが、施工費用の安さです。各コーティングの施工価格の相場は以下の通りです。

・セラミックコーティング:15~25万円
・ガラスコーティング:7~15万円
・ポリマーコーティング:2~3万円

ポリマーコーティングは、コーティング剤が安く手軽に施工できるため、人件費や設備費用も抑えられ、ガラスコーティングやセラミックコーティングと比べて大幅に費用を抑えられます。

後ほど詳しく解説しますが、柔軟な被膜であるため機械による施工も可能であり、簡易的なものであれば数千程度で施工できます。

キズが埋まりやすくキレイに仕上がる

ポリマーコーティングは、柔軟性のある樹脂成分でできているため、塗装表面の小さなキズや細かい凹凸を埋める特徴があります。そのため、下地処理でボディの傷を丁寧に磨かなくても、光沢や艶が引き立ち、キレイに仕上がります。

すべてのキズが埋まるわけではありませんが、細かい線傷であれば目立たなくなり、まるでなかったかのような見栄えになります。施工のたびにこの効果を得られるため、特にドライブなどで車をキレイに見せたいときに、低価格で美しく仕上げることが可能です。

また、ポリマーコーティング特有のみずみずしい艶を好む方も少なくありません。

車の傷イメージ

DIY施工しやすい

ポリマーコーティングは、柔軟性のある樹脂成分でできているため、塗り広げやすく塗装面にも簡単に馴染みます。そのため、初心者でも気軽に施工でき、被膜の硬化によるムラが残りにくいのも特徴です。

近年はDIY用としてスプレータイプやクリームタイプの製品が市販されており、数千円程度で購入できます。磨き作業が不要できれいに仕上がりやすいため、DIY施工用コーティングとして高い支持を得ています。

ポリマーコートならではの艶感が得られる

ポリマーコーティングは、独特の厚みのある艶が特徴です。これは、他のコーティングよりも被膜が厚いため、コーティング層が塗装と一体化したような質感に仕上がることに関係しています。

ガラスコーティングのようなシャープな艶感とは異なり、細かな傷も埋めて美しく仕上がるため、特に濃色車に乗っている方から支持を得ています。

ポリマーコーティング後イメージ

ポリマーコーティングのデメリット

ポリマーコーティングには、以下のようなデメリットもあります。

・耐紫外線性能や耐擦り性能が低い
・耐久性が低く定期的な施工が必要

これらのデメリットについて、現在の主流であるガラスコーティングと比較しながら解説していきます。

耐紫外線性能や耐擦り性能が低い

ポリマーコーティングの被膜は、ガラスコーティングやセラミックコーティングに比べて非常に柔らかく、紫外線や物理的な摩擦に対しての耐性が低いと言えます。

洗車などで拭き傷が入りやすく、定期的に施工していたとしても、紫外線による塗装の色あせや劣化が起こります。長期的な保護力を重視したい場合は、ガラスコーティングなどが差異的と言えるでしょう。

ちなみに、被膜の硬度を示す指標として「鉛筆硬度」があり、ガラスコーティングは6~9Hであるのに対し、ポリマーコーティングは1~3Hです。

耐久性が低く定期的な施工が必要

ポリマーコーティングの被膜は非常に柔らかく、耐久性も低いことから定期的に施工し直す必要があります。

ガラスコーティングの寿命は3~5年と言われていますが、ポリマーコーティングは3~6ヶ月ほどです。一回当たりの施工費用は安いものの、長期的な視野で考えるとコスパが悪いと言えます。

コストパフォーマンスの比較

【ガラスコーティングで24ヵ月、ポリマーコーティングで4ヵ月効果が持続すると仮定して2年間コーティング効果を維持するための価格】

・ガラスコーティング:7~15万円(施工1回のみ)
・ポリマーコーティング:12~18万円(施工6回)

特別な日だけキレイにする程度であれば、ポリマーコーティングの方が安く済みますが、長くコーティング効果を維持させたい場合は、ガラスコーティングが最適と言えます。
関連記事:ポリマーコーティングとガラスコーティングの違い

洗車機のポリマーコーティングについて

ポリマーコーティングは、樹脂を主要成分としており非常に柔らかいため、機械での施工も可能です。ガソリンスタンドなどにある自動洗車機には「ポリマーコート」メニューがあり、洗車後にポリマー成分がスプレー状で吹き付けられる仕組みになっています。

被膜が自然に塗装面に馴染むため、仕上げ拭きなどを行わず短時間で施工が完了します。細かい傷が埋まり、ポリマーコート特有の艶感が得られるため、ドライブなどで数日間だけキレイな状態を維持したい場合に最適です。

料金はガソリンスタンドによりますが、1,500円前後が一般的です。ただし、洗車機で施工するポリマーコートは手塗りに比べて寿命が短く、1~3週間ほどで効果がなくなります。
関連記事:車のガラスコーティングおすすめトップ9選【2024年度版】

ドライブイメージ

ポリマーコーティング施工前に知っておくべきこと

ポリマーコーティングのメリット・デメリットとは別に、施工前に知っておくべき注意点が2つあります。

・洗車機を使用すると剥がれてしまう可能性がある
・青空駐車では耐久性が短くなりやすい

ポリマーコーティングは、被膜が柔らかく耐擦り性能が低いため、ボディが汚れたからと自動洗車機を使用すると、コーティングが剥がれてしまう可能性があります。

ポリマーコーティングを施工した後のお手入れは、ノンブラシタイプの洗車機か手洗い洗車になります。また、被膜が熱に弱いため、青空駐車の場合は3ヵ月持つことなく効果がなくなる可能性もゼロではないことを理解しておきましょう。

青空駐車のイメージ

ポリマーコーティングをおすすめする人

ポリマーコーティングの特徴やメリット・デメリットを踏まえて、施工をおすすめするのは以下のような方です。

・コーティング効果をお試し感覚で体感したい人
・屋内駐車場で車の使用頻度が低い人
・短期間で乗り換え予定の人
・週末やドライブ前など、その都度美しく見せたい人

ポリマーコーティングは数万円程度で施工できるため「とりあえずコーティングがどのようなものなのか体験してみたい」という方に最適です。屋内駐車場で車の使用頻度が低ければ、劣化しにくいためコスパも悪くありません。

自動洗車機による施工であれば短時間で仕上がるため、週末などのお出かけ前にキレイにしたいといった方にもおすすめです。

コーティング施工イメージ2

ガラスコーティングをおすすめする人

ポリマーコーティングではなく、ガラスコーティングをおすすめするのは、以下のような方です。

・耐擦り性や耐薬品性など、品質重視でコーティングを施工したい人
・長く乗り続ける予定の人
・青空駐車で車の使用頻度が多い人

ガラスコーティングは、形成される被膜が非常に硬く、耐擦り性能に優れています。耐薬品性能や耐紫外線性も兼ね備えており、紫外線による劣化などからも愛車を守れます。

定期的にメンテナンスを受けることで、数年間長持ちするため、長くカーライフを楽しむことができます。さらに品質や美しさにこだわりたい場合は、セラミックコーティングもおすすめです。

関連記事:車のコーティングは全4種類!各特徴と愛車にマッチする種類の選び方

ポリマーコーティングを自分で施工する方法

ポリマーコーティングは、施工性にも優れており施工経験のない人でも気軽に施工できます。自分で施工する際の工程は以下の通りです。

1:手洗い洗車する
2:ボディをしっかり乾燥させる
3:溶剤を塗布する
4:仕上拭きする

まずは、洗車でボディに付着した汚れを洗い流します。中古車で鉄粉などが大量に付着している場合は、専用の除去剤を使って取り除きましょう。洗車後はボディをしっかり乾燥させます。

ポリマーコーティングにはスプレータイプやクリームタイプがあり、1パネルずつ溶剤を均等に塗り広げるようにウエスで拭いていきます。一度に多く塗りすぎると、拭き上げる前に乾いてしまうため注意しましょう。

最後に、別のウエスで仕上げ拭きを行い、余分な溶剤を拭き取りつつ均等に広げるイメージで全体を拭いて仕上げていきましょう。
関連記事:車のコーティングを自分(DIY)でやる方法

洗車のイメージ

ポリマーコーティングに関するよくある質問

最後はポリマーコーティングに関する、3つのよくある質問に答えていきます。

・最強のポリマーコーティングはある?
・ガラスコーティングの上にポリマーコーティングしても大丈夫?
・ポリマーコーティングはどこで施工できる?

コーティング施工の注意点や施工できるお店に関する内容ですので、参考にしてみてください。

最強のポリマーコーティングはある?

数多くのポリマーコーティング商品があり、全てを比べることはできないものの、比較する際には耐久性の目安とレビューを参考にしてみましょう。

耐久期間が長いものほど、成分が濃く優良と推測できます。実際の耐久性やコスパ、施工性についてはレビューが参考になります。

ガラスコーティングの上にポリマーコーティングしても大丈夫?

艶感がすごいのであれば「ガラスコーティングの上にポリマーコートを施工すればいいのでは」と感じた方もいるのではないでしょうか。ガラスコーティングの上にポリマーコーティングを重ねることは可能であるものの、以下の内容に注意が必要です。

・ガラスコーティングの品質保証がなくなる可能性がある
・相性が悪い場合、ガラスコーティングの耐久性が悪くなる可能性がある。
・劣化したポリマーコートが染みやムラの原因になる可能性がある

艶を蘇らせる専用のクリーナーなどがありますので、まずはお店のスタッフに相談するようにしましょう。

ポリマーコーティングはどこで施工できる?

ポリマーコーティングはガソリンスタンドを中心に、カーショップ・ディーラー・コーティング専門店などで施工できます。お店によって作業内容や扱っている溶剤が異なるため、比較した上で依頼先を決めてみましょう。

DIY用商品は、オートバックスなどのカー用品店や、ホームセンターで購入できます。

まとめ

ポリマーコーティングは樹脂が主成分のコーティングで、形成する被膜が非常に柔らかいため、傷が埋まりやすく簡単な下地処理でもキレイに仕上がりやすい特徴があります。

施工費用も安く、DIY施工にも適している一方で、ガラスコーティングと比べると耐擦り性能や耐紫外線性能がなく、耐久性の低さがデメリットとしてあります。

今回紹介した施工をおすすめする人の内容を参考に、要望に合ったコーティングを選んでみましょう。ポリマーコーティングを体感した上で、最適なコーティングを考えてみるのもおすすめです。

著者情報

株式会社カービューティーアイアイシー
代表取締役社長 舊役 哲史

2008年にガラスコーティング専門店の株式会社カービューテイーアイアイシーに入社
現在まで2,000台以上のカーコーティング,ガラスコーティングの施工実績を持ち、特に輸入車などの施工実績が豊富である。カーコーティングのオプション作業としてホイールコーティングの実績も豊富で様々な知識と技術力を有す。