洗車後に塗装面に鉄粉が付着していることに気づいたことはありませんか?塗装面を触るとザラザラした感触や、黒い点々が見受けられることがあります。これらは鉄粉が塗装面に固着している可能性が高いです。無理に取り除こうとすると、ボディに細かい傷がついてしまい、光沢が失われたり、スクラッチ傷が広がる恐れがあります。もし細かい傷ができてしまうと、研磨作業が必要になり、修理費用が5万~10万円ほどかかることもあります。
車のボディに付着した鉄粉を取り除く方法は主に3つあります。1つ目は、粘土を使って強制的に除去する方法。2つ目は、粘土パッドを使用して優しく取り除く方法。3つ目は、マイクロファイバークロスの繊維を利用して丁寧に取り除く方法です。この3つの方法を用いることで、鉄粉を効果的に除去することができます。
この記事では、コーティングプロショップのIICが、車に付着した鉄粉を自分で簡単に取り除く方法と、鉄粉除去におすすめの溶剤について、画像や動画を交えてわかりやすく解説します。車の鉄粉除去の参考にしていただければ幸いです。
1章 車に付着する鉄粉について
車に付着する鉄粉は、主にブレーキダストによって塗装面に付着します。ブレーキパッドが摩耗することで、微細な鉄粉が空気中に舞い上がり、塗装に付着するのです。特に、降下線沿いや道路の近くに駐車している車は、鉄粉が付着しやすい傾向があります。ブレーキパッドは鉄製であり、ローターと接触することで自動車や電車を停止させます。この際、ブレーキをかけることで鉄粉が発生し、空気中に散布されるのです。
鉄粉が塗装面に付着している間は大きな問題はありませんが、酸性雨などの酸に反応すると、鉄粉が錆びて塗装面に固着してしまいます。もし、写真のように黒い点々が見られる場合は、鉄粉が塗装に刺さっている可能性があるため、早めに除去することをお勧めします。
2章 車に付着した鉄粉を除去する3つの方法
鉄粉が付着した際の除去方法は、主に3つの手段があります。以下にその方法を示します。
①鉄粉除去剤をスプレーして洗車する
② 鉄粉除去剤をスプレーし、専用パッドで取り除く
➂鉄粉除去剤をスプレーし、トラップ粘土を使用する
これらの方法が、鉄粉を効果的に除去するための主な手段です。まずは、以下の図をご覧ください。
鉄粉除去力 | 塗装面へのダメージ | |
①鉄粉除去剤をスプレーして洗車する | 弱 | 弱 |
②鉄粉除去剤をスプレーし、専用パッドで取り除く | 中 | 中 |
③鉄粉除去剤をスプレーし、トラップ粘土を使用する | 強 | 強 |
上記の3つの方法では、鉄粉の除去性能や塗装面への影響が異なります。鉄粉除去を行う際は、①から順番に進めることをおすすめします。理由として、鉄粉は非常に硬いため、取り除く際に塗装面に細かい傷(スクラッチ)が入る可能性があります。特に黒色の車体では、鉄粉除去後に微細な傷が目立ち、光沢が損なわれる原因になることがあります。また、トラップ粘土には研磨剤が含まれているため、その粒子が塗装面に細かな傷をつけてしまうリスクがあるのです。
「コーティング施工車に鉄粉粘土は避けるべき」
鉄粉粘土は研磨剤を含んでいるため、塗装面をこするとコーティングの被膜を削ってしまうことがあります。その結果、水弾きが悪くなったり、コーティングが部分的に剥がれてムラが発生してしまったりするケースも少なくありません。これを防ぐためには、粘土を使用せず、マイクロファイバークロスや鉄粉除去専用のクリーナーを活用して、慎重に鉄粉を取り除くことが重要です。
3章 車に付着した鉄粉を除去する手順
①鉄粉除去剤をスプレーしてクロスで除去する
手順①:鉄粉除去剤を塗装面にスプレーする
手順②:5~10分程度そのまま放置する
手順③:カーシャンプーを使って洗車を行う
軽度の鉄粉であれば、この手順で大まかに取り除くことが可能です。鉄粉除去剤は鉄粉を溶解するため、塗装面に傷をつける心配をせずに鉄粉を取り除くことができます。この方法で除去できない場合には、専用のパッドを使用して対応しましょう。
参考動画↓
車に付着した鉄粉を取り除く方法とプロがおすすめする鉄粉除去剤(マイクロファイバークロス編)
②鉄粉除去剤をスプレーして専用パッドで除去する
鉄粉除去専用パッドは研磨剤を含んでいないため、塗装面へのダメージを最小限に抑えながら鉄粉を取り除くことができます。具体的な手順は以下の通りです。
手順①洗車を行う
手順②鉄粉除去剤をスプレーし、5~10分程度放置する
手順➂鉄粉除去パッドを使って優しくこする(できるだけ力を入れない)
※3の工程で落ちない場合は、少し力を加えてみてください。
上記が専用パッドを使用した除去の流れです。特に注意すべき点は、作業中に塗装面を乾燥させないことです。乾燥すると、パッドを使用した際に摩擦が増え、塗装面を傷つける原因になります。そのため、鉄粉除去剤を適度に追加しながら作業を進めるよう心掛けましょう。
この専用パッドを用いた方法をしっかり行えば、頑固な鉄粉も時間をかけて除去することができます。ただし、時間をかけたくない場合はトラップ粘土を使用することで、より迅速に除去作業を進めることが可能です。
参考動画↓
車のボディに付着した鉄粉を簡単に取る方法をプロがご紹介(鉄粉除去パット編)
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③鉄粉除去剤をスプレーしてトラップ粘土を使用する
トラップ粘土を使用する際の施工手順
①洗車する
②鉄粉除去剤をかける(5分~10分放置する)
③水を掛けながらトラップ粘土で擦る
上記がトラップ粘土を使用した場合の除去方法でした。
トラップ粘土は塗装面にスクラッチ傷を沢山付着させるため最終手段として行うようにしましょう!
参考動画↓
プロが教える車の鉄粉を粘土で取る方法(初心者編)
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おすすめ鉄粉除去剤
鉄粉除去剤には、溶剤の種類によって除去力が弱いものや、逆に強力すぎてコーティング被膜や塗装面にダメージを与える恐れがあるものがあります。そこで、コーティングプロショップ「IIC」がおすすめするのが、シルト:鉄粉除去剤です。この製品は、IICが実際の業務で使用しているプロ仕様の強力な鉄粉除去剤でありながら、塗装面を傷める心配がありません。また、取り扱いが非常に簡単で、多くのお客様から高い評価をいただいている信頼のある商品です。
ネット通販でも購入することが可能な商品です。価格は390mlで1,870円となります。
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鉄粉除去についてよくあるQA
Q. 鉄粉除去剤はコーティング施工車に使っても大丈夫ですか?
A. 基本的には、鉄粉除去剤はコーティング施工車にもご使用いただけます。ただし、トラップ粘土を使用するとコーティング被膜が削れてしまう可能性があるため、粘土の使用はおすすめしておりません。
Q. 鉄粉除去剤を使用する際に注意すべき点はありますか?
A. 鉄粉除去剤をスプレーしたまま長時間放置したり、直射日光が当たる場所で使用すると、塗装面にダメージを与える可能性があります。これらの条件での使用は避けてください。
Q. トラップ粘土を使用すると傷がつきますか?
A. トラップ粘土には研磨剤が含まれており、そのため塗装面に微細な傷がつくことがあります。特に濃色車の場合、傷が目立ちやすいので、トラップ粘土は避け、鉄粉除去専用パッドを使って優しく取り除くことをおすすめします。
まとめ
この記事では、鉄粉がボディに付着する原因について解説しました。車のボディには必ず鉄粉が付着しますが、それを放置してしまうと、酸性雨の影響で錆が発生し、塗装面に固着してしまいます。そのため、定期的に洗車を行い、錆びた鉄粉が塗装面にこびりつかないように注意しましょう。万が一、鉄粉が付着してしまった場合には、以下の3つの方法で除去が可能です。
①鉄粉除去剤をスプレーし、洗車を行う
②鉄粉除去剤をスプレー後、専用パッドを使用して取り除く
➂鉄粉除去剤をスプレーし、トラップ粘土で除去する
トラップ粘土は、特に頑固な鉄粉を除去する際に使用してください。ただし、トラップ粘土には研磨剤が含まれており、塗装面に微細な傷をつけてしまうことがあります。そのため、軽度の鉄粉除去には専用パッドを使用することで、塗装面へのダメージを抑えることができます。これらのポイントを理解した上で、適切な方法で鉄粉除去を行うようにしましょう。
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著者情報
株式会社カービューティーアイアイシー
代表取締役社長 舊役 哲史
2008年にガラスコーティング専門店の株式会社カービューテイーアイアイシーに入社
現在まで2,000台以上のカーコーティング,ガラスコーティングの施工実績を持ち、特に輸入車などの施工実績が豊富である。カーコーティングのオプション作業としてホイールコーティングの実績も豊富で様々な知識と技術力を有す。