
台風と洗車の関係性は意外と見落とされることが多いですが、車の塗装保護の観点では重要です。
台風が巻き起こす強風は大気中に含まれる汚染物質を巻き込み、降雨には通常の雨よりも多くのミネラルや、その他にも車の塗装にとって有害な成分を含むため、車に付着したまま放置してしまうことで塗装やコーティングにもダメージを与える原因となります。
当記事では台風と洗車の関係性を軸に、普通の雨との違い、台風が車の塗装に与える影響、台風後のベストな洗車タイミングと洗車手順、台風の前に出来る車の保護対策をご説明するほか、塩害対策としておすすめのセラミックコーティングをご紹介しますので、台風が過ぎ去った後の洗車や、対策について疑問に思った方のご参考になれば幸いです。
台風と普通の雨の違いは?車の塗装に与える影響
まずは台風と普通の雨の違いを説明させていただきます。どちらも同じ雨ではありますが、台風の雨が車への被害を及ぼし、洗車をすぐやるべきであるとされる理由は下記となります。
台風の雨は「塩分」を含み、水シミや錆を発生させやすい
台風で発生する雨は大気中の汚染物質のほか、海水由来のミネラルや塩分を大量に含み、砂埃も巻き上げて通過していくため、通常の雨とは比較にならないほど車に水シミや錆を発生させやすいです。特に海沿いの地域では塩害の影響が顕著であり、台風の降雨に晒された車を放置してしまうと、長期的な被害につながります。
台風の雨は「汚染物質」を巻き込みやすく汚しやすい
台風の雨は強風を伴い、砂埃も巻き上げて通過していくため、大気中のチリ・ホコリ・花粉・排気ガス由来の汚染物質を巻き込みやすくなります。 通常の雨よりも不純物を多く含まれる雨が乾いた際、車の塗装に黒ずんだ汚れが残るので、台風の雨は車を汚しやすいと言えます。
海沿いでなくても塩害による影響がある
塩害は海沿いの地域だけの問題と思われがちですが、台風時には事情が違ってきます。
台風で強風が吹き荒れると、海水に含まれる塩分が風に乗って数十キロ以上内陸まで飛散し、車に付着することが確認されており、塩分が塗装表面に残るとコーティングや塗装に吹き付けられたクリア層の劣化を早め、時間をかけて下地の金属部分へ浸透し、ドアの開閉部やホイール部にまでサビを生む影響を及ぼします。
実際に海岸から50km程度離れた地域でも、風や融雪剤の影響で車のサビが進行した事例が多数報告されており、見た目には問題がないように見えても下回りのフレームなど、見えない部分で劣化が進んでいる可能性があるため、海沿いでなくても台風発生時に発生する車の塩害の影響には注意が必要です。
関連記事:塩害の対策には車のガラスコーティング
日数経過で塗装やコーティングへのダメージリスク増
台風後に何日も放置すると、塗装やコーティングに深刻なダメージが及ぶリスクがあります。
大量のミネラルや塩分を含む雨が塗装表面で乾いて水シミ(イオンデポジット)となり、時間が経つほど除去が困難になります。コーティング施工車では、被膜劣化を引き起こす原因となりえます。通常の洗車では落ちない水シミや固着汚れになってしまうと、塗装面をポリッシャーで研磨する必要になることもあるため、台風後は早めの洗車を行って、車の美観を保ちましょう。
台風後のベストな洗車タイミングと手順
台風後の車には塩分や砂ぼこり、油分を含んだ汚れが多く付着しているため、なるべく早く洗車することが重要です。
特に塩害は短時間でも進行し、塗装や金属部分のダメージリスクが向上します。
台風後のベストな洗車タイミング
結論として、台風後のベストな洗車タイミングは24時間以内が理想ですが、台風が去った後も強い風が吹いている場合は黄砂汚れが塗装面に付着する場合があるほか、水分が蒸発しやすい炎天下で洗車してしまうと洗車起因での水シミが発生しやすくなってしまいます。
3〜5日程度:塩分濃度が高い状態が続くと、鉄粉が付着した部分や傷のある箇所から錆が発生するリスクがある
1週間以上放置:塩分が塗装に浸透し、下地の金属部分などに影響が出てくるため、下回りやホイール周辺の腐食が進みやすいです。
数週間〜1ヶ月以上:大気汚れとともに塩分が固着し、塗装の浮き、本格的な錆びが発生するリスクが高まる
台風後の洗車では黄砂が付きやすい強風時や水シミが発生しやすい炎天下など、気温が高い時間帯は避けましょう。
台風後の洗車手順と必要な道具
下記では、台風後の洗車手順とあわせて必要な道具を記載します。
必要な道具
バケツ:カーシャンプーとスポンジを泡立てるために使用するため、小さすぎないものがおすすめ。
ホース:車を一周できる長さで、水量や水圧が調節できるシャワーヘッド付きのものがおすすめ
洗車スポンジ:できるだけ柔らかい素材で凸凹があるスポンジがおすすめ
洗車ブラシ:できるだけ柔らかい素材で細かいパーツの隙間を狙えるものと、ホイールのタイヤ部分に使う事を想定してブラシ幅の大きいものがおすすめ
マイクロファイバークロス:吸水力が高く塗装面に傷が付きにくいため、洗車時の水分を拭きあげる際におすすめ
弱アルカリ性カーシャンプー:塩害、油汚れ(ワックス、排気ガス、花粉、黄砂)などの汚れが落としやすいほか、塗装に悪影響を及ぼしにくいためおすすめ |
洗車手順①
大量の水で汚れを洗い流す
台風後の車には細かい砂や塩分が大量に付着しているため、 まずはホースや高圧洗浄機で大量の水をかけながら車体を洗い流しましょう。
車体が乾いたままの状態で、タオルやスポンジで擦ってしまうと洗車傷を付着させてしまいます。
車体の上から下に向けパーツの隙間に入り込んでいる汚れもあわせて落とす事を意識しながら水を流します。
洗車手順②
下回りからボディ全体と順番に洗う
車の下回り(ホイールなど)の洗浄は台風後の洗車で必須です。海水由来の塩分が下回りのホイールやマフラー部分に残ると、金属パーツのサビや腐食リスクを促進します。
カーシャンプーとブラシなどをつかって、ホイール部分のスポークや内側、タイヤハウスの裏側など汚れが溜まりやすい部分を中心に汚れを浮かせた後、泡立てた部分にしっかりと水をあてて下回りの汚れを洗い流した後に、カーシャンプーを泡立てたスポンジを潰さないように持ち、ボディ全体の汚れを泡で浮かせ、しっかりと水で洗い流します。
先にボディを洗ってしまうと、下回りの汚れがボディについて2度手間になってしまうため、下回りの汚れを落とした後にボディを洗うようにしましょう。
洗車手順③
水滴を残さないように拭きあげる
洗車後はマイクロファイバークロスで車体に残った水滴を優しく拭きあげます。
水滴を放置して乾いた際にシミになり、陽光や紫外線の熱で塗装面に焼き付いてしまうとイオンデポジットと呼ばれる白っぽい水シミ・水垢が車の塗装面に付着し、洗車でとれなくなるリスクが発生するほか、イオンデポジットとなった水シミを更に長期間放置すると、塗装面の内部に浸透してウォータースポットに変化します。
程度によっては研磨作業でも除去できないほどなので、洗車の仕上げ時にはしっかりと最後まで車体に残った水滴を拭きあげる様にしましょう。
関連記事:イオンデポジットとウォータースポットの原因と5つの対策を解説
台風の前にできる車の保護対策5つ
台風の前にできる車の保護対策として、強風による飛来物対策が重要です。
ボディカバーを思いついて採用する方も多いですが、強風によってボディカバーがバタつくと、砂やホコリがカバー内に入り込むリスクがあるほか、飛ばないように固定していても強風で煽られて塗装やガラス面全体に数えきれないほどの擦り傷(スクラッチ傷)を付着させるリスクがあります。
台風の前にできる車に対する保護対策としては
①壁際や建物の陰に駐車する
⓶台風が来る前に洗車をしておく
③ガラスコーティングを施工する
④プロテクションフィルムを施工する
⑤金属部分に防錆スプレーを活用する
この5つの対策で車に付着する汚れや錆を抑え台風後に車に及ぼすダメージを大幅に軽減できます。
下記でその理由を説明させていただきます。
台風の前の保護対策①
壁際や建物の陰に駐車する
台風の前の保護対策の一つ目として、壁際や建物の陰に駐車することが有効です。
屋外駐車であっても駐車場所にこだわる事で、直接的な風圧を軽減し、飛来物から守るために飛散物が直撃するリスクを軽減できます。
具体的な駐車場所は、『建物の壁沿いで風下になるスペース』となります。
『大型のショッピングモール』や『マンション駐車場内の壁際』、自宅の駐車スペースがある場合は、『風が直接当たらない建物の向こう側』に駐車するのがおすすめです。
ただし、ビルの間やガレージの端など強風が集まりやすい場所や、窓ガラスや看板、樹木の近くは避けましょう。強風で割れたガラスや飛ばされた看板、木の枝が車を傷付ける可能性があります。
また『排水が機能しにくい低地や地下駐車』など、大雨による冠水で車が浸水する恐れがあるため、水はけの良い場所を選びましょう。
もし屋内駐車場が利用できるならそれが一番安心ですが、屋外であれば台風時のリスクを減らすためにも上記のスペースに駐車することを意識しましょう。
台風の前の保護対策②
台風が来る前に洗車をしておく
台風が来る前に車を洗うのは無駄に感じるかもしれません。しかし意外にも、実はこれが有効な保護対策としての2つ目です。
事前に洗車しておくことで、ボディ表面の汚れを落とし、台風時に発生する車へのダメージリスクを抑えることができます。
ボディに汚れや埃が付着したまま台風を迎えると、それらが雨や風による影響で塗装面への細かい傷やシミの原因になります。
特に、台風が運んでくる花粉や排気ガス由来の汚れは、水を含むことで化学変化を起こし、塗装やコーティングの劣化を早めるので、台風が来る前に洗車をしておくことで、結果的に、台風後に発生する車への被害を抑える事が可能です。
関連記事:車の洗車方法をプロが徹底解説8ステップで誰でもプロ洗車できる
台風の前の保護対策③
ガラスコーティングを施工する
効果性の高いガラスコーティングを車に施工する事が台風の間にできる保護対策の3つ目となります。
高い水弾き性能を発揮する強固な保護膜を形成し、汚れを塗装面に付着・浸透する事を防ぎます。
紫外線や熱による耐熱性能、排気ガス汚れ、鳥フンや虫の死骸を起因とした酸性汚れなどから車の塗装面を保護できるほか、台風の雨には塩分や酸性物質を含みますが、ガラスコーティングは台風の雨に含まれる塩分にも、1度の施工で長期的な保護効果を発揮します。 さらに、ガラスコーティング施工車は洗車もしやすくなるため車の美観も保ちやすくなります。
ガラスコーティングについて詳しく知りたい方はガラスコーティング8つのメリットと5つのデメリットを専門家が解説をご参照ください。
台風の前の保護対策④
プロテクションフィルムを施工する
4つ目の保護対策はプロテクションフィルムの施工です。
プロテクションフィルムは、ガラスコーティングでは防げないスクラッチ傷や飛び石から塗装を保護する事を目的に開発された、車に貼り付ける透明保護フィルムとなり、2025年2月現在では、バンパーなど複雑な形状を含む塗装面全体の箇所に施工できるほか、フロントガラスやピラー、ヘッドライトにも施工が可能です。
施工できる店舗が限られ、施工費用も高額ですが、サーキットや高速道路の走行時の飛び石被害も想定されて開発されているため、台風時に飛来する砂やゴミを起因として付着しうる傷にも効果を発揮します。
台風による強風や雨は、塩分や泥、砂ぼこりを車に付着させ、塗装部分を劣化させる原因になることをお伝えしてきましたが、対候性が高いプロテクションフィルムは塗装面やガラス面に直接貼り付けるため、ガラスコーティングよりも車の塗装に対する直接的なダメージを防ぎ、劣化した際は剥がしてから再度、プロテクションフィルムを施工する事も可能です。
プロテクションフィルムについて詳しく知りたい方はプロテクションフィルムとはをご参照ください。
台風の前の保護対策⑤
金属部分に防錆スプレーを活用する
5つ目の保護対策は金属部分にあたる車の下回りやマフラー部分に、ドア開閉部に防錆スプレーを活用する事です。
台風前に防錆スプレーを均等に吹き付けることで金属部分に保護膜をつくり、台風起因で起こる塩害で発生する腐食や錆の進行を阻止します。
防錆スプレーは台風・塩害の影響を受ける地域では約2週間~4週間以内とスパンを短めに定期的にふきつける必要があり、長期的な効果性には期待できない反面、お手軽さと即効性のメリットがあるため、コストを抑えて台風起因の塩害対策をしたい方は活用する事をおすすめします。
台風対策におすすめのコーティング
【SystemX/システムX】
台風対策のおすすめコーティングとして、当記事の運営元であるカーコーティング専門店が取り扱うSystemX(システムX)をご紹介させていただきます。
SystemXはアメリカの航空宇宙産業に特化している特殊コーティング研究開発会社によって生まれ、最も過酷な環境で耐性が求められる航空機や船舶のコーティング剤としても利用されており、従来のガラスコーティングや市販されているセラミックコーティング剤では真似できないほどの、圧倒的な塩害耐性を持ちます。
超疎水タイプの撥水性能を持ち、深みのある艶、長期間にわたってコーティング効果を保ち続けることが可能です。
4パネルで行った塩水ストレステストによる色変化
左から①未処理パネル、②カーワックスを施工したパネル、③塗装保護剤を施工したパネル(シーラント)、④System Xを施工したパネル4枚を使用した「塩水ストレステスト」では、System Xを施工したパネル以外が錆による色変化が見られ、結果として驚異的な耐塩水性能を発揮しました。
※海に含まれる塩水の「約4倍の濃度の塩水に10時間浸す」条件で行われた実験です。
そのほか超疎水タイプの撥水性能でセルフクリーニング機能を持ち、深みのある艶、長期間にわたってコーティング効果を保ち続けることが可能です。
総合的に高い効果性の期待値と、コーティングプロショップでしか取り扱っていない理由から、お値段が高いのがセラミックコーティング剤となりますが、愛車の美観に対してこだわりのあるオーナー様にはおすすめです。
関連記事↓
セラミックコーティングとは?効果,費用,特徴と商品を徹底解説
セラミックコーティングのメリット,デメリットをIICが徹底解説
ガラスコーティングとセラミックコーティングの違いをIICが解説
System Xを取り扱うコーティングプロショップ
・株式会社カービューティーアイアイシー(千葉) |
まとめ
当記事でご説明させていただいたまとめとなります。
・台風の雨は通常より「塩分」を多く含み、車の塗装に水シミや錆を発生させやすく、強風の影響で排気ガスをはじめとした汚染物質を巻き込みやすいこと
・台風後のベストな洗車タイミングは強風が収まり、水分が蒸発しやすい環境を避けた24時間以内が理想であること
・台風後の洗車手順では車の下回りからポイントを抑えて順番に洗い、洗車後には水滴を残さず拭き上げること
・台風の前に出来る車の保護対策として、ボディカバーの採用を除いた対策を5つご紹介させていただいたこと
上記にあわせまして、当記事の運営元である千葉県市川市のガラスコーティング専門店、カービューティーアイアイシースタッフが、弊社で取り扱う台風時の塩害対策としておすすめなSystemXコーティングをご紹介させていただきました。
ご参照くださったユーザー様のお役立ちの一助となれば幸いです。
最後までご参照くださりありがとうございました。
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著者情報
株式会社カービューティーアイアイシー
代表取締役社長 舊役 哲史
2008年にガラスコーティング専門店の株式会社カービューテイーアイアイシーに入社
現在まで2,000台以上のカーコーティング,ガラスコーティングの施工実績を持ち、特に輸入車などの施工実績が豊富である。カーコーティングのオプション作業としてホイールコーティングの実績も豊富で様々な知識と技術力を有す。