鉛筆硬度9Hコーティングってキズ入らないの?疑問を徹底解説

愛車を守る上で欠かせないコーティング!
しかし、硬度が硬いコーティングなら傷が付かないと勘違いされているオーナー様が多いのが現状です。

車のコーティングで最も硬いものは鉛筆硬度9Hなどのコーティングですが、全く傷が入らないわけではないのです。

今回はそんな誤解を少しでも解消できるようにコーティングの硬度について徹底解説をさせていただきます。

コーティングを正しく理解して頂き、愛車を常に綺麗な状態に保たせて頂ければ幸いです。

車のコーティング硬度には大きく2つある

車のコーティングの硬さを表す表記は主に2項目存在します。
1つ目はモース硬度と言われる硬さの表記です。
2つ目は鉛筆硬度と言われる表記となります。

では、具体的にどのように違うのか詳しく見てみましょう!

①モース硬度

段階 モース硬度 キズがつく目安
1  滑石 最も柔らかい
2  石膏 金具で傷が入る
3 方解石 硬貨で傷が入る
4 プラチナ ナイフの刃で簡単にキズを入る
5 黒曜石 ナイフの刃で傷が
6 ラピスラズリ 鋼ヤスリでキズがつくがウィンドウガラスより硬い
7 水晶 鋼ヤスリで傷が入る
8 トパーズ 鋼ヤスリでキズがつかない
9 サファイア ダイヤモンド以外の宝石でキズがつく
10 ダイヤモンド 地球上の鉱物の中で最も硬い

モース硬度とは上記の図のように10段階あります。車のコーティングでモース硬度を表記しているものはハイモースコーティングです。
ハイモースコーティングはモース硬度6と表記された硬いコーティングとなります。

続いては鉛筆硬度についてお伝えをしていきます。

②鉛筆硬度

鉛筆硬度とはコーティング被膜の硬さを鉛筆の芯で例えた硬さとなります。基本的に鉛筆の芯の硬さは下記の種類が存在します。

主に鉛筆の芯には『6B』『5B』『4B』『3B』『2B』『B』『HB』『F』『H』『2H』『3H』『4H』『5H』『6H』『7H』『8H』『9H』が存在します。

上記のように鉛筆の芯では9Hが最も硬いものとなりますが、9Hの鉛筆の芯も人の力を加えると鉛筆の芯は折れてしまいます。

誤解されがちなのですが、鉛筆硬度9Hだから硬くて傷が入らないと解釈されがちですが、鉛筆硬度9Hでも確実に細かい傷はつきます。もちろん鉛筆硬度6Hのコーティングに比べると傷は入りづらくなりますが全く入らない訳ではないのです。

また、鉛筆硬度よりもモース硬度の方がはるかに硬いため誤解しないように注意して下さい。

因みに、モース硬度6のコーティングも全く傷が入らない訳ではなく入りづらくなるだけです。

鉛筆硬度9Hは硬いの?

鉛筆硬度9Hのコーティングは結論から申し上げますと硬いコーティングです。
しかし、コーティングメーカーのすべてにおいて共通することですが、鉛筆硬度〇Hやモース硬度〇などの表記はコーティング被膜単体での硬さを表記したものとなります。

無機質のガラスコーティング

上記のようにコーティング剤を単体で硬化させると結晶化されたコーティング被膜がどれだけ硬いかを実証するのですが、塗装面に形成される被膜がクリア塗装の1/30にも満たないので、塗装面にコーティング被膜を形成してもメーカーが表記する硬度には満たないのです。

では、多重層コーティングを行うと硬くなるのか?という疑問がわきますが、この方法は硬度を増すことが出来ます。
1層辺りのコーティング被膜の厚みは0.3~1μとなります。厚みを増すことで塗装面の硬度を向上させることが出来るのです。

国産車の塗装の硬さ

国産車の塗装の硬さは約2Hと言われております。この2Hの塗装面に9Hのコーティング被膜を1層を載せても9Hのコーティング被膜は形成されません。
1層の追加で約1H程度強化されると理解しておきましょう!
当然、コーティング被膜を10層重ねることで擦り傷が付着しづらくなるのです。
下記の動画は鉛筆硬度9Hのコーティング被膜を10層塗り重ねた塗装面となります。ライターの樹脂部分で塗装面を擦っても傷が入りづらくなっているのが分かります。
※全く入らない訳ではありません。

関連記事:セラミックコーティングで飛び石対策ができない理由と対策法を解説|カービューティーIIC

セラミックプロの驚きの性能を動画で見る

硬いコーティング=傷が入らないという訳ではないので誤解されないようにお願い致します。

鉛筆硬度9Hのコーティングは傷付かない?

鉛筆硬度9Hのコーティング被膜でも塗装面にはスクラッチ傷は入ってしまいます。
その理由は車のガラスも硬度は鉛筆硬度でいうと9H以上のものとなります。
しかし、鋭利な金属などで力を入れて擦ると当然傷は入りますよね?

鉛筆硬度9Hのコーティングでも結果的に傷は付着するのです。

しかし、硬ければ硬い程傷が入らなくなるのは事実です。
トヨタの塗装でブラック202というとてもデリケートな塗装色があります。普通に洗車しただけでも細かい傷がついてしまうのですが、硬度が硬いコーティングを行うことで遥かに傷が入りづらくなるというデーターもあります。※自社調べ

鉛筆硬度9Hのコーティングに洗車機を入れると

鉛筆硬度9Hのコーティング施工後に洗車機を入れてみたのですが、やはり傷は入りました。
ボンネット半分は未施工で実験を行ったので未施工部分の方が傷が目立つ状態でしたが全く入らないという訳ではありません。

傷が付着しづらいコーティングよりも傷が消えるコーティングを施工してみてはいかがでしょうか・

キズを気にするなら硬いコーティングよりも傷が復元するコーティング

コーティングシステムも技術改良により進化しています。
特殊なコーティングを施工することで塗装面に付着した傷の約70%を復元するというコーティングが存在します。

この商品も全く傷が入らない訳ではないのですが、傷が復元する効果が得られるため数年後の塗装面の状態を比較的綺麗に保てる製品です。

キズが消えるコーティング動画

このコーティング名はファインラボコーティングというメーカーのコーティング剤です。
従来の硬いコーティングに比べ数年後の塗装面の状態が比較的綺麗な状態を実現できるため多くのオーナー様に支持をされています。

キズが消えるファインラボコーティングを詳しく知りたい方はこちらをクリック

まとめ

ガラスコーティングを施工する際に表記されている〇Hの硬さなどを謳っている製品がありますが、全く傷が入らない訳ではないので予め理解しておきましょう!
もちろん硬いコーティングを施工すればするほど傷は入りづらくなりますが全く入らない訳ではありません。

そして、傷をつけづらくするなら被膜を重ね塗りして硬度を向上させることが理想となります。

基本的に鉛筆硬度9Hのコーティングを塗布しても元々の塗装は柔らかいため、1H程度しか硬くなりません。
最高硬度9Hを実現させるにはコーティング被膜を9層塗り重ねないと傷が入りづらくなるとは言えないでしょう。
しかし、鉛筆硬度9Hのコーティングを9層塗り重ねても鋭利な金属には負けてしまいます。

また、最近では、塗装面に付着した微細な小傷の70%を復元する効果が得られるコーティングもあるので、傷をつけづらくするという概念から小傷を復元させるという認識を持つと良いかもしれません。

この記事を読んだ方がコーティングの硬さについて理解して頂き、満足いくコーティング施工が出来れば幸いです。

著者情報

株式会社カービューティーアイアイシー
代表取締役社長 舊役 哲史

2008年にガラスコーティング専門店の株式会社カービューテイーアイアイシーに入社
現在まで2,000台以上のカーコーティング,ガラスコーティングの施工実績を持ち、特に輸入車などの施工実績が豊富である。カーコーティングのオプション作業としてホイールコーティングの実績も豊富で様々な知識と技術力を有す。