カーフィルムは見た目がカッコよくなるだけでなく、紫外線や赤外線のカット効果があり、快適な車内空間を維持できます。また、スモークタイプを選ぶことで車内が見えにくくなり、プライバシーの保護も可能です。
ただし、色の濃いカーフィルムになるほど車内が暗くなり、視界が悪くなるため、透過率は慎重に決める必要があります。透過率ごとの見え方が分からず、最適なフィルムを選べるか不安に感じている方もいるでしょう。
この記事では、カーフィルム施工後の見え方について、夜間と日中に分けて解説していきます。施工する際の注意点も紹介していますので、参考にしてみてください。
カーフィルムの透過率によって車内外の見え方が異なる
カーフィルムの透過率とは、光がどれだけフィルムを通過するのか数字で表したもので、数値が高いほど多くの光を通し、低いほど光を通しにくくなります。見やすさは車内と車外で同じというわけではなく、外からは車内が見えにくく、車内からは外の見え方ができるだけ変わらないように作られています。
ただし、透過率が低くなるほど外が見づらくなり、車内も暗くなるため注意が必要です。
外からの見た目だけで透過率を決めてしまうと、運転時の視界が悪くなり、不便に感じる可能性があります。必ず車内からの見やすさも確認したうえで最適な濃さを検討しましょう。また、日中と夜間で見え方が異なることも考慮する必要があります。
【夜間編】カーフィルム透過率ごとの見え方
前述の通り、カーフィルムは夜間と日中で見やすさが変わります。日中だけでなく夜間の見え方についても理解しておくようにしましょう。
ここでは、透過率ごとに車内と車外からの見え方などを解説します。
透過率5%の見え方
透過率5%のカーフィルムは、スモークフィルムの中で最も濃いタイプで、昼夜を通して外から車内の様子は一切見えません。最もプライバシー保護しやすい種類と言えるでしょう。
ただし、フィルムの濃さにより車内はかなり暗く、車内の細部を確認するのが難しくなります。また、実際に施工したい人の声として「閉鎖的な空間のようになるのが少し怖い」といった内容がありました。
車内からの視界に関しては、外灯やヘッドライトといった光源がある箇所は、ぼんやりと外の景色が見える程度です。暗い道路などは、外の景色がほとんど見えずバックカメラがなければ、駐車は難しいと言えるでしょう。
透過率15%の見え方
透過率15%はスモークフィルムの中で中程度の濃さとなり、夜間では外から車内の様子はほとんど見えません。日中であれば、若干人影が見える程度です。
車内は施工前よりもやや暗くなる程度で、車内の物や操作パネルは十分確認可能です。周囲の外灯やヘッドライトの光もフィルムを通すため、圧迫感は少ないと言えるでしょう。
夜間における車内からの視界は、未施工車よりも少しだけ暗くなる程度です。街中での運転に支障が出ることはほとんどないでしょう。暗い道路などは、外の様子を確認することはできるものの、細かい動きや暗い物体は見えづらくなります。
透過率20%の見え方
透過率20%はスモークフィルムの中で中程度の濃さとなり、夜間では外から車内の人影がうっすら見える程度です。日中になるとよりくっきり人影が見えますが、表情までは分かりません。
車内の暗さはほとんど変わらず、人によって少し暗くなったと感じるケースもある程度です。運転時の視界や車内操作への影響はほとんどありません。
夜間における車内からの視界も、未施工車とほぼ変わりません。街中の明るい場所であれば十分に外の状況を確認できます。光源の少ない場所でも、外の景色は確認できます。ただし、車内が明るいとリアガラスやサイドガラスに車内の様子が映り込み、運転しづらくなる可能性があるため、車内灯などは控えめにしましょう。
透過率30%の見え方
透過率30%は、スモークフィルムの中で最も明るいタイプとなり、夜間でも車内の人影を確認できる程度の濃さとなります。日中になると表情もうっすら確認できます。
車内の暗さに変化は感じられず、通常通り運転できます。夜間における車内からの視界も、若干黒っぽくなるだけで見やすさに大きな変化はありません。光源の少ない場所でも外の景色はほとんど変わることなく通常通り運転できるレベルです。
透過率30%よりも上の数値になると、車内からの見やすさに変化はほとんどなくなります。
【日中編】カーフィルム透過率ごとの見え方
日中は夜間よりも車内外ともに夜間と比べて見えやすくなります。運転操作に支障は出にくいものの、プライバシー確保とのバランスを考える必要があります。
透過率5%の見え方
スモークフィルムの中で最も濃いタイプとなる5%を施工した場合、日中でも車内の様子は全く見えません。最もプライバシーを保護しやすいと言えるでしょう。
車内は施工前よりもかなり暗くなります。夜間ほどではないものの、未施工車における夕方くらいの暗さです。車内からの景色もある程度暗くなるため、人によっては運転のしづらさを感じる可能性があります。
また、日影や屋内駐車場での運転になると細かい物体や動きが見えにくくなるため、注意が必要です。ちなみに透過率が低くなるほど紫外線や赤外線カット率の数値は上がります。ただし、変わったとしても数%ほどであり、体感できるほどの違いはありません。
透過率15%の見え方
透過率15%は、スモークフィルムの中で濃いめのタイプで、日中の明るい場所であれば車内の人影がうっすら見える程度です。表情や車内にあるものまでは確認できないため、プライバシーを十分保護できます。
車内は施工前よりもやや暗く感じるものの、運転に支障が出るほどではありません。ただし人によっては運転がしづらいと感じる方もいます。車内からの景色は、暗めにはなりますが細かい物体や動きまで確認できる程度です。
日影や屋内駐車場になると、注意して見なければものや人の動きが確認しづらいこともあります。
透過率20%の見え方
透過率20%はスモークフィルムの中で中程度の濃さとなり、日中の明るい場所であれば車内の人影をはっきり確認できます。場所によっては表情もうっすら見えることがあります。ただし、車内を物色できるほどではなく、車内からの見やすさとプライバシー保護のバランスが取れた濃さと言えるでしょう。
車内は若干暗くなったと感じる人もいますが、施工前とほとんど差はありません。車内からの景色も良好で施工前と比べて運転しづらくなるようなことはないと言えるでしょう。屋内駐車場や夕方になってもやや暗くなるだけで、運転しづらいと感じる人はほとんどいません。
透過率30%の見え方
透過率30%はスモークフィルムの中で明るめの濃さとなり、日中の晴れた日であれば車内にいる人の表情もうっすらと見えます。ティッシュ箱やスマートフォンなど、車内にあるものも確認可能です。
車内の暗さに変化はなく、運転に支障が出ることはないでしょう。また、車内からの景色も施工前と比べて大きな差はありません。屋内駐車場や夕方になっても見やすさに大きな変化はなく、通常通り運転できます。
透過率30%を超えるものは、プライバシー保護効果が低く、赤外線や紫外線カット効果のみを期待する人向けとなります。
カーフィルム透過率の適性
ここでは、実際にカーフィルムを施工した人の声も交えながら、透過率ごとの適性について解説します。おすすめの濃さは、運転手の運転環境や個人の好みによって異なるため、あくまでも参考として捉えてみてください。
専門店にあるサンプルを確認し、実際に見え方を確かめたうえで、最終的な濃さを決めるようにしましょう。
透過率10%以内をおすすめする人
透過率10%以内のフィルムは、プライバシー保護を重視したい方や強い日差しを遮りたい方におすすめです。昼夜を問わず車内がほとんど見えないため、プライバシーを守れるだけでなく、物色されるリスクを抑えることで、車上荒らしの防止にも効果的です。
紫外線や赤外線カット率は、他の濃さと大きな差はありませんが、光をほぼ遮断するため、日差し対策を重視する方に適しています。また、車をスタイリッシュな印象に仕上げたいといった方にも選ばれる傾向があります。
ただし、夜間の運転が多い方や、駐車時の視認性を重視する方には不向きと言えるでしょう。視界の確保が難しくなるため、安全面での注意が必要です。
透過率10~20%をおすすめする人
透過率10~20%のフィルムは、プライバシー保護と視界のバランスを重視する方に適しています。この範囲の透過率であれば、外から車内がほとんど見えないため、プライバシーを守りながらも、十分な遮光性を確保できます。
見栄えも暗すぎず薄すぎないため、シックで高級感のある印象に仕上げたい方に人気のある濃さです。一方で、夜間になると視界が悪くなりやすいため、夜間の運転が多く運転操作に自信が無い方は20%以上が最適と言えるでしょう。
透過率30%~をおすすめする人
透過率30%以上のフィルムは、視認性を重視しながらも適度なプライバシー保護と遮光性を求める方に適しています。この範囲の透過率は、外から車内がうっすら見えるため、完全なプライバシー保護は難しいものの、瞬時に人の表情や車内の状況を確認することは難しいと言えます。
夜間でも視界がほとんど変わらないため、運転操作が苦手な方でも安心です。透過率によって赤外線や紫外線のカット率は異なりますが、数%ほどで体感できるほどの差はありません。ちなみに、カーフィルム施工で最も依頼が多い濃さは15%~30%です。
スライドガラスは8%、リアドアガラスは20%など、施工箇所によって濃さを変える人もいます。
関連記事:【プロが解説】カーフィルムの種類と透過率ごとの見え方について
暗くしたくない場合は透過率の高い透明フィルムがおすすめ
見た目を変えることなく、赤外線や紫外線カット効果を得たい場合は、透過率の高い透明フィルムがおすすめです。カーフィルムと言えばスモークフィルムをイメージする人が多いのですが、全く見た目の変わらない透明フィルムもあります。
赤外線や紫外線カット率は、スモークフィルムより若干低いものの、体感で差が分かるほどの違いはなく安心です。夜の運転が不安な方や、窓ガラスを暗くしたくない方は透明フィルムの施工を検討しましょう。
ちなみに、スモークフィルムはスライドドアガラス・リアドアガラス・リアガラスにしか貼れませんが、透明フィルムであればフロントガラスやフロントドアガラスにも施工できます。運転席や助手席の暑さ対策におすすめです。
関連記事:プロ直伝!おすすめのカーフィルムの種類と選び方を分かりやすく解説
カーフィルムを依頼する際の注意点
カーフィルムは、一度貼ってしまうと簡単に剥がせないため、上記内容を理解したうえで、貼り直しとならないように注意しましょう。近年はプライバシーガラスを採用する車種が増えてきています。その上からフィルムを貼る場合、サンプルよりも濃くなるため、実際のガラスにサンプルを重ねて確認するようにします。
ほとんどのカーフィルムには紫外線カット効果が付いていますが、赤外線カット効果はついていないフィルムもあります。赤外線カット効果があるものとないものでは、日差しの感じやすさが大きく異なるため、事前に確認しましょう。
リアドアガラスなどには、開け閉めなどの注意点が記載されたステッカーが貼ってあります。施工前に剥がすかどうかを決めておきましょう。何も指示しなければ、そのまま上からフィルムを貼ってしまうお店もあるため、指示が必要です。
バックカメラの見やすさにも注意が必要
リアガラス(後部のガラス)にカーフィルムを貼る際、車内にバックカメラがある場合は施工後の見やすさをチェックしておく必要があります。フィルムの濃さによっては、バックカメラが後方の映像を移せなくなる可能性があるためです。
カメラの性能にもよりますが、透過率15%以上であれば後方の撮影が可能です。バックカメラの前にフィルムサンプルを挟むなどして、モニター映像の見やすさも確認しておきましょう。
バックカメラの箇所だけフィルムをくり抜くことも可能ですが、見た目が悪くなってしまいます。特にセダンタイプはくり抜く範囲が大きくなるため、注意が必要です。
カーフィルム施工車の車検について
カーフィルム施工についてネット上で検索すると「車検に通らない」といった情報も見受けられます。これに関しては、所定の基準を満たしていれば問題ありません。日本の道路運送車両法では、車両のアドガラスに関して、以下の基準が設けられています。
・フロントガラスおよび運転席、助手席:可視光線透過率70%以上であること
・リアドアガラス、リアガラス:透過率に規定はない
これらの決まりに則って、リアドアガラスやリアガラスであれば、濃さに関係なくスモークフィルムを貼ることができます。一方で、フロントガラスやフロントドアガラスには色付きのフィルムは施工できません。
フロント面にフィルムを貼る場合は透明フィルムとなります。透明フィルムでもまれに透過率70%を下回るケースがあります。透明フィルムの施工を依頼する際には「可視光線透過率測定器」による測定を行い、品質保証書を発行してくれるお店を選ぶようにしましょう。
関連記事:カーフィルム施工車の車検は大丈夫?ルールについて分かりやすく解説
カーフィルムの透過率に関するよくある質問
最後はカーフィルムの透過率や法律に関する、3つのよくある質問に答えていきます。
・カーフィルムが濃すぎた場合の対処方法は?
・透過率何%だと捕まる?
・ゴーストは車検に対応している?
フィルム施工を依頼する際に、役立つ内容ですので知識の1つとして覚えておきましょう。
カーフィルムが濃すぎた場合の対処方法は?
カーフィルムが予想していたよりも濃すぎた場合、対処方法としてはフィルムを貼り直すしかありません。施工を依頼したお店に事情を話したうえで、貼り直しを依頼しましょう。
ドライヤーやヘラを使用して自分で剥がすことも可能ですが、ガラスや内装が傷つく可能性があるため、おすすめしません。フィルム剥がしは施工してから時間が経過するほど大変になるため、できるだけ早めに伝えましょう。
施工ミスなどがない限り、フィルムの貼り直しには正規料金が必要であり、お店によっては剥がし作業の料金も別途必要です。
透過率何%だと捕まる?
道路運送車両法では、フロントガラス・フロントドアガラスの可視光線透過率が70%を下回った車の運転を禁止しています。そのため、透過率にかかわらずスモークフィルムをフロント面に施工すると法律違反で捕まります。
ただし、リアドアガラスやリアガラスに透過率の制限はないため、車両後方であれば濃いフィルムを貼ったとしても捕まることはありません。
ゴーストは車検に対応している?
ゴーストフィルムは、青や紫などさまざまな色に発色しているように見えるフィルムのことで、最近ではフロント面に貼っている車を見かけることもあります。
ゴーストフィルムは2024年11月時点で、法律で禁止されておらず、先ほど解説したとおり道路運送車両法で定められている「フロント面の可視光線透過率70%以上」という基準をクリアすれば車検も通ります。
ただし、貼り方が汚かったり施工後の劣化により施工当時は70%以上を上回っていても、車検時に70%を下回ってしまい剥がさなければならなくなるケースも珍しくありません。
プライバシーの保護と運転のしやすさを意識してフィルムの透過率を決定しよう
カーフィルムの透過率は複数に分かれており、数値が低いほど色が濃くなります。色が濃いほどプライバシーを保護しやすくなる一方で、車内が暗くなり夜間に運転しづらくなります。
透過率の高いフィルムは、色が薄く運転しやすい一方で、日中では車内が見えやすくなります。フィルム施工で何を最優先にするのかを決めたうえで、お店のサンプルを確認しながら透過率を決めていきましょう。
色を変えたくない場合は、透明フィルムの施工もおすすめです。カーフィルムを施工して快適なカーライフを楽しみましょう。
著者情報
株式会社カービューティーアイアイシー
代表取締役社長 舊役 哲史
2008年にガラスコーティング専門店の株式会社カービューテイーアイアイシーに入社
現在まで2,000台以上のカーコーティング,ガラスコーティングの施工実績を持ち、特に輸入車などの施工実績が豊富である。カーコーティングのオプション作業としてホイールコーティングの実績も豊富で様々な知識と技術力を有す。