車が劣化する原因の一つに「紫外線」があります。塗装の表面に施工されているクリア層がダメージを受けてしまい、新車のような光沢が次第になくなっていきます。古い車ほど色あせて見えるのはこのためです。
汚れの固着防止や、耐擦り性能を付与できるガラスコーティングですが、紫外線カット効果もあり、施工すると塗装の色あせを予防できます。
しかしながら、紫外線によるダメージを完全に防げるというわけではなく、愛車の塗装を劣化させないためには、他の対策法についても理解しておくことが大切です。今回は、ガラスコーティングの紫外線カット効果やその他の対策法を中心に解説していきます。
・ガラスコーティングに紫外線カット効果はあるが、完全にボディを守ることはできない
・ボディや車内の紫外線対策法としては、カーポートやカバー、カーフィルムもおすすめ
・ガラスコーティングは、美しい光沢だけでなく防汚効果や防キズ効果があり、お手入れも楽になるのでおすすめ
ガラスコーティングの紫外線カット効果について
冒頭でも解説した通り、ガラスコーティングには紫外線カット効果があります。ただし、商品によって効果の強さが異なるだけでなく、完全に紫外線をカットすることはできません。
ここでは、なぜガラスコーティングが紫外線をカットできるのか、どれほどの効果があるのか解説していきます。
ガラスコーティングに紫外線カット効果はある
ガラスコーティングは、溶剤を塗布することでボディ表面に強固なガラス質の被膜を形成し、汚れの固着や摩擦による線傷を防ぎます。
被膜の成分の中には、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤が配合されているものが多く、クリア層(塗装表面)まで届く紫外線を少なくできます。そのため、コーティング未施工車に比べて、紫外線による色あせやチョーキング減少の防止に役立ちます。
関連記事:ガラスコーティング8つのメリットと5つのデメリットを専門家が解説
ガラスコーティングで紫外線を100%カットすることはできない
紫外線を吸収したり散乱させる成分を含むガラスコーティングですが、被膜自体の劣化を防ぎ寿命を延ばす程度の強度であり、体に塗る日焼け止めほどの効果は得られません。
その理由としてあるのが「形成されるガラス被膜の厚さ」です。紫外線カット効果は、含まれる成分だけでなく形成される被膜が厚いほど高くなります。体に塗る日焼け止めであれば、約20ミクロンの膜厚が必要とされています。
ガラスコーティングの一般的な膜厚は、1ミクロンほどと言われているため、紫外線カット効果はそこまで高くないと言えるでしょう。セラミックコーティングの場合、商品によっては10ミクロンを超える膜厚を形成するものもあるため、紫外線カット効果は高いと言えます。
「紫外線吸収剤を増やせばいいのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、混ぜすぎることで被膜の透明感が失われてしまいやすく、コーティングの光沢が減少してしまいます。
紫外線による車への影響
紫外線は「UV-A・UV-B・UV-C」に分類され、それぞれに以下のような特徴があります。
・UV-A:太陽光の数%を占めるほどの割合で、車や生物に対する影響は他のものより比較的小さい
・UV-B:太陽光の0.1%を占めるほどの割合で、量はすくないものの車や生物に大きな影響を与える
・UV-C:車や生物に対する影響が非常に強いものの、地表にはほとんど到達しない
これらの紫外線は、車に対してさまざまな悪影響を及ぼします。ここでは、私たちのカーライフに与える具体的な影響について、解説していきます。
塗装が劣化してしまい色あせしてしまう
紫外線は、車のボディ表面のクリア層に降り注ぐことで、化学結合を切断します。切断されるとラジカルという活性成分が生まれ、酸素と反応することで、化学結合の切断が繰り返されてしまいます。
このような連鎖がクリア層で起こることにより、劣化が進んでしまいみずみずしい光沢がなくなり、色あせてしまいます。さらに劣化が進むと、塗装自体が劣化してしまい粉になってしまう「チョーキング現象」が起こってしまいます。
ちなみに、色あせしやすいと言われているのは、原色系で特に赤色や黄色、紫色は注意が必要です。
関連記事:車のコーティングって必要?メリットや業者,種類の選び方を解説
車内のシートや樹脂が日焼けする
紫外線はさまざまな物質に対してダメージを与えるため、車内のシートや樹脂パーツも次第に日焼けしていきます。特に本革製のシートは影響を受けやすいと言われており、日焼けによる色あせだけでなく、ひび割れも起こります。
ボディコーティングとは別に、車の内装用コーティングがあり、施工することで日焼けを防ぐだけでなく抗菌・消臭効果や耐擦り性能が向上しますので、気になる方は施工を検討してみましょう。
詳しくは車内にもカーコーティングは必要?費用や施工法について解説をご参照ください。
運転手の日焼けやシミの原因になる
紫外線のUV-Aは、波長が長くほとんどがガラスを通過することから、内装だけでなく車に乗っている人に対しても悪影響を及ぼします。「ほとんど日焼けしない」といった声もありますが注意が必要です。
UV-Aは、日焼けを引き起こさずに、肌の奥にあるコラーゲンやエラスチンを破壊します。シミの原因はUV-Aであることが多く、他にもシワやたるみといった肌への被害が大きいと言えます。
これに対しては、カーフィルムがおすすめで、当店では紫外線を100%・赤外線を99%カットする「KOBOtectフィルム」を取り扱っています。内装や人へのダメージをなくし、日差しのジリジリとした熱さをほとんどカットできます。
他にも、エアコンの効きが良くなったり、事故時のガラス飛散を防いだりできますので、気になる方は「IICのフィルムメニュー」をチェックしてみてください。
車の塗装を紫外線から守る方法
ガラスコーティングには紫外線カット効果があるものの、カット率が高いわけではなくダメージを完全に防げるわけではありません。
そのため、ボディの色あせやシートの日焼けなどを防ぐためには、他の紫外線対策と組み合わせることが大切です。さまざまな紫外線対策法について解説していきます。
セラミックコーティングを施工する
※セラミックコーティング:System X MaxG+
ガラスコーティングよりも紫外線カット効果を高めたい場合は、より膜厚のあるセラミックコーティングがおすすめです。また、近年は紫外線カット効果の高い商品も出てきています。
コーティング施工の目的として、紫外線対策を重視したい場合には、UVカット効果にこだわったメニューを探してみましょう。
関連記事:セラミックコーティングとは?効果,費用,特徴と商品を徹底解説
車内の日焼けを防ぎたいという方は、カーフィルムがおすすめです。フロントガラスやフロントドアも可視光線透過率70%以上の透明フィルムであれば、施工可能で紫外線や赤外線をカットできます。
カーフィルムに関して詳しく知りたい方は100%紫外線カット(UVカット)カーフィルムの特徴をIICが解説をご閲覧ください。
カーポートを設置する
引用元:https://ex-labo.com/blog/125/
紫外線対策はもちろん、乗り降りの際に雨などを防げるのが「カーポート」です。カーポートにはポリカーボネート製やアルミ製、FRP板などがあるため、要望に沿ったものを選ぶようにしましょう。
カーポートを設置するスペースがない場合には、遮光ネットも紫外線カット効果があります。費用も抑えやすいので、駐車環境に応じた方法を試してみてください。
カバーをかける
2つ目の対策法が「車のカバー」です。さまざまなタイプの商品が販売されており、中には高いUVカット率を誇る商品もあります。
横からの雨風も完全に防げるため、汚れ防止対策にも高い効果を発揮します。また、剥がすのが手間で、車内を物色できないことから、盗難被害の抑制効果も高いと言えるでしょう。
ただし、毎回カバーをかけるのが手間であり、作業の際にカバーを引きずってしまいボディが傷ついてしまうデメリットもあります。内装だけでも対策したいという方は、カーサンシェードがおすすめです。
この他では、窓ガラスに吹き掛けるタイプの紫外線対策スプレーも市販されていますので、気になる方はチェックしてみましょう。
プロテクションフィルムを施工する
ボディの紫外線対策にこだわりたいという方は、プロテクションフィルムをおすすめします。
コーティングよりも膜厚が厚いことからカット率が95%を超えるものもあります。
飛び石や拭き傷などを防げ、何度でも貼りなおせる(商品による)一方で、ボディ全体に貼る場合は費用が100万円を超えてしまうことがデメリットです。ボンネットやルーフなど施工箇所を限定した場合は、1箇所あたり15~20万円で施工できます。プロテクションフィルムに関して詳しく知りたい方は下記をご閲覧ください。
プロテクションフィルム5つの効果,傷や飛び石のダメージを防止する
UVカット効果以外のガラスコーティングの効果
紫外線を完全にカットできるわけではないガラスコーティングですが、さまざまな施工メリットがあり、カーライフを楽しむうえで欠かせないものといっても過言ではありません。
ここでは、UVカット効果以外の、ガラスコーティング効果について解説していきます。
車が汚れにくくなる
ガラスコーティングは、ボディ表面に強固な被膜を形成させることにより、汚れの固着を防げます。ちょっとした雨でも汚れを洗い流してくれるため、未施工車と比べて圧倒的に車が汚れにくくなります。
洗車に関しても、簡単な汚れだけであれば強めに水を当てるだけできれいにできます。ボディの水も拭き取りやすく、愛車をキレイな状態で維持するうえで欠かせない存在と言えるでしょう。
関連記事:コーティングした車の正しい洗車方法と手順をプロが徹底解説
細かい線傷がつきにくくなる
強固な被膜が表面に形成されることで、耐擦り性能が向上するため細かい線傷がつきにくくなります。線傷はボディがくすんで見えてしまう原因の1つであるため、特に傷が目立ちやすい濃色車への施工がおすすめです。
ボディが汚れにくくなることで、洗車の頻度も下がり洗ったりボディを拭いたりする回数も減るため、線傷の発生が抑えられます。
関連記事:洗車キズ、磨き傷の対策
雨染みの発生を防ぎやすくなる
ボディにできる雨染みは、汚れと水が混ざり乾燥することで発生します。コーティング施工車は、撥水性能により花粉や黄砂などが固着しにくいため、雨染みの発生も防げます。
特に、水玉ができにくい親水系のコーティングは、ボディのシミ対策に優れているため、おすすめです。
関連記事:車の雨シミを落とす方法や道具と予防策をIICが解説
ガラスコーティングと他の紫外線対策を併用して愛車を守ろう
ガラスコーティングは、防汚効果や防キズ効果などさまざまな施工メリットがあり、紫外線カット効果もあります。ただし、完全に紫外線をカットできるわけではないため、別の対策も必須と言えます。
カーポートやカバー、車内の日焼け対策としてカーフィルムもおすすめです。
当店では高品質なコーティングはもちろんカーフィルムや車内・内装コーティングも行っています。詳しくは下記からご閲覧ください。
関連記事: カーフィルムの効果,費用,メリットデメリットをIICが解説
関連記事:車内にもカーコーティングは必要?費用や施工法について解説
また、無料の工場見学も行っていますので、気になる方は下記の工場見学予約フォームよりお越しください。
著者情報
株式会社カービューティーアイアイシー
代表取締役社長 舊役 哲史
2008年にガラスコーティング専門店の株式会社カービューテイーアイアイシーに入社
現在まで2,000台以上のカーコーティング,ガラスコーティングの施工実績を持ち、特に輸入車などの施工実績が豊富である。カーコーティングのオプション作業としてホイールコーティングの実績も豊富で様々な知識と技術力を有す。