車内のプライバシー保護だけでなく、高い紫外線・赤外線カット効果のあるカーフィルムは、カーライフを楽しむうえで欠かせないアイテムの1つと言えます。
施工はコーティング専門店や、カー用品店に依頼するのが一般的ですが、近年はDIY向けのフィルムも販売されており、自分で貼る人が増えてきています。失敗することなくきれいに貼るには、必要な道具を揃えたうえで正しい手順で作業することが大切です。
今回は、カーフィルムを自分で施工する際に用意するものや、施工手順を中心に分かりやすく解説していきます。専門店で施工できるおすすめの商品も紹介していきますので、お店への依頼も検討してみてください。
カーフィルムの施工前の準備
カーフィルムの施工に必要な道具は、購入するカーフィルムや施工箇所にもよりますが、以下の道具は最低限揃えておくようにしましょう。
・マスキングテープと水濡れ防止シート
・ゴムヘラ
・内窓掃除用のタオル
作業の際には、霧吹きで石鹸水をガラスに吹き掛けるため、水が垂れて電送部分などが濡れしまいます。故障を防ぐためにマスキングテープと水垂れを防ぐシートを用意しておきましょう。リアガラスにフィルムを貼る場合、車種によっては電装カバーを外さないといけない可能性があります。
リアガラスは、丸みのあるガラスに形状を合わせるために、フィルムを成形しなければなりません。ただし、DIY向けのフィルムは分割貼りのものが多く、成形に必要なヒートガンなどは使用しません。
養生テープ・マスキングテープで保護
カーフィルムを貼る際には、施工液をガラスに吹き掛けるため、電送部分などが濡れないように周辺をマスキングテープとシートで保護していきます。ガラスを1センチほど下げておきましょう。
リアドア・スライドドアに施工する場合、内張りを外してから施工することでよりキレイに仕上がります。絶対に外さないといけないわけではないものの、仕上がりにこだわりたい方はこの段階で外しておきましょう。
内張りの外し方は「車種名+内張り外し方」と検索すると詳しい手順を調べられます。内張りを外す際に、無理やり引っ張ったりすると破損する可能性があるため、注意しましょう。
リアガラスの熱線端子などを外す
リアガラス部分は、内張りを外す必要は基本的にないものの、車種によって電装カバーを外す必要があります。車種別の外し方を調べた上で慎重にカバーや熱線単子を外していきましょう。
ただし、DIY用のフィルムはカバーに合わせてカットされたものがほとんどです。フィルムの成形に関しても、分割張りであるためそのまま貼れます。販売元によって仕様がことなりますので、事前に確認しておきましょう。
フィルムを熱で成形
リアガラスは丸みを帯びた形状であるため、1枚貼りする場合はフィルムを熱しながら形状に合わせて成形しなければなりません。しかし、前述したようにDIY向けのカーフィルムは分割貼りが基本であるため成形の必要はありません。
業務用など、1枚貼りのフィルムで成形していないものに関しては、そのまま貼れないので注意しましょう。ちなみに、ヒートガンを使用した熱成形には高度なスキルが必要であるため、初めての人にはかなり難易度が高い作業です。
フィルムを購入する際には、リアガラスが分割張りであるかどうか、成形の必要がないか必ずチェックするようにしましょう。
内側のガラス油膜を落とす
カーフィルムはガラスの内側に施工しますが、貼り付け面が汚れているとしっかり貼り付かないため、すぐに剥がれてしまいます。水を弾く油膜がある場合も同様です。
油膜除去剤は、ホームセンターなどに売っているため、なるべく施工前にキレイに除去してから貼るようにしましょう。油膜の有無は、内窓を濡れたタオルで拭いて、水を弾くかどうかで確認できます。
カーフィルムの貼り方の手順
カーフィルム施工の準備が終わったあとは、実際にガラスへ貼り付けていきます。具体的な作業手順は以下の通りです。
1.ガラスの内側をキレイに掃除する
2.向きに注意してフィルムを貼る
3.フィルムの位置を調整して水抜きする
4.内張りなどを元に戻し完成
一般的なフィルムの貼り方となりますので、購入したフィルムによって若干手順や作業内容が異なる可能性があります。商品の取扱説明書もチェックしたうえで作業していきましょう。
ガラスをキレイに掃除
まずは霧吹きで石けん水をガラス全体に吹き掛けてきれいに掃除していきます。石けん水は水に対して2~3%の中性洗剤を混ぜて作ります。明確な基準はないため、多少濃さが前後しても問題ありません。
タオルで拭くと、ホコリなどが大量に付着してしまうため、ゴムヘラで上の方から少しずつずらしながら汚れを取り除いていきます。時間が経つほど汚れが付着しますので、掃除後はすぐにフィルムを貼るように意識しましょう。自分の手も石けん水できれいにしてからフィルムを手に取ります。
フィルムを貼る
フィルムを貼る際には、フィルムの接地面にも石けん水を噴霧します。その後なるべく早くガラスへフィルムを貼りつけていきます。
ガラスの上面から数ミリ下に合わせて、上から下の順番で貼っていきます。石けん水を全体に吹き掛けたり折れないようにフィルムを持つのは大変ですので、なるべく2人での作業をおすすめします。
石けん水でフィルムを動かせるため、フィルムを貼る位置はある程度合っていれば問題ありません。フィルムの向きを間違えないようにだけ注意しましょう。
フィルムの位置調整と水抜き
フィルムを貼った後はゆっくりずらしながら位置を調整していきます。力を入れすぎると急に動いたり、フィルムが折れてしまったりするため慎重に作業を進めましょう。
位置が定まった後は、石鹸水を全体に吹き掛けてからヘラで中心から外側に向けて石けん水や空気を抜いていきます。ヘラを早く動かしすぎるとフィルムが折れる可能性があるため注意が必要です。
まずはガラス上面から水抜きを行い、キレイになったところでガラスを上に上げて、下面も同様に水抜きしていきます。
内張りを外していない場合は、水切りの中にフィルムをゆっくり入れ込んでいきます。YouTubeなどでは余ったフィルムをカッターで切る方法を紹介したものもありますが、ガラスや内張りに傷が入る可能性があるため注意が必要です。
内張りなどを元に戻し完成
水抜き・空気抜きが終った後は、時間が経過して浮いてきたシワなどがないか、全体を確認しながら再度仕上げていきます。シワや空気は、無理して直そうとするとフィルムが折れてしまう可能性があるため注意しましょう。
内張などを外していた場合は、元通りに直して作業完了です。フィルムを貼った直後は糊が乾燥していないため、貼った日は窓を動かさないようにしましょう。リアガラスに関しては、フィルムが分割となっていますが、基本的に貼り方に違いはありません。商品の取扱説明書も確認したうえで作業してみてください。
作業のイメージができないという人は、YouTubeなどでDIY向けフィルム施工動画が投稿されていますので、そちらも参考にしながら施工してみてください。
カーフィルムをキレイに貼るコツ
カーフィルムをキレイに貼るためには、以下のポイントを意識して作業しましょう。
・風が吹かず、ホコリなどが舞っていない環境で施工する
・丁寧に掃除を行い、フィルムを貼る際には素早く作業する
・水抜きと空気抜きは中心から外側に向けて進めていく
外観が汚く見える一番の原因が「ごみカミ」と「フィルムのシワ」です。
※「ごみカミ」とは、自動車の塗装作業中などに塗料の中に異物やゴミが混入してしまう現象を指し、フィルムとガラス面にゴミが混入することです。
砂埃が舞いやすい環境ではごみカミが起きやすいため、なるべく屋内の風のない環境で作業するようにしましょう。掃除した後に、フィルムを貼るまでの時間を極力短くすることも大切です。
シワに関しては、フィルムがガラスの形状に合っていない場合に起きやすく、完全になくすのはかなり難しいと言えます。なるべく発生させないためには、中心から外側に向けて水抜きすることを意識しましょう。ごみカミやフィルムのシワをなくしたいという方は、専門店での施工をおすすめします。
カーフィルムを貼る上で車検に関する注意点
カーフィルムを貼る場合、フロントガラス・フロントドアガラス(助手席・運転席)への施工では、車検に関する注意点を事前に理解しておくべき注意点があります。
フロント面へのフィルム施工は、道路運送車両法により「可視光線の透過率が70%を下回らないこと」と定められており、基準を満たしたカーフィルムを施工した場合でも、十分に掃除できておらずシワなどもある場合は、透過率が70%を下回ることがあります。
車検時に引っかかる可能性があることを理解したうえで施工するようにしましょう。フロント面は特に専門店での施工をおすすめします。
また、カーフィルム施工車の車検について詳しく知りたい方は、カーフィルム施工車の車検は大丈夫?ルールについて分かりやすく解説の記事をご一読ください。
カーフィルム施工とは
カーフィルムと聞くと、多くの人が見た目が恰好良くなり、紫外線や赤外線をカットできるといったイメージを持っています。しかしフィルムを施工するメリットは、他にもたくさんあります。
・紫外線、赤外線のカット効果
・エアコンの効きめ向上
・車内の保温性能向上
・プライバシー保護と防犯効果
・事故時のガラス飛散防止
フィルム施工における1番のメリットといえるのが「紫外線・赤外線のカット効果」です。専門店で扱っているフィルムは特に品質が高く、夏場のジリジリとした光線や肌へのダメージを抑制できます。
紫外線カット効果について詳しくは100%紫外線カット(UVカット)カーフィルムの特徴をIICが解説をご覧ください。
品質の高いカーフィルム専門店の選び方
ここまで自分でカーフィルムを貼る方法について解説してきましたが、ごみカミやシワがなく高品質な仕上がりを求める場合は、専門店での施工をおすすめします。専門店で取り扱っているフィルムは赤外線・紫外線カット効果の高いものが多く、前述した効果も実感しやすいと言えるでしょう。
しかしながら、全てのお店が高品質というわけではないため、しっかり比較したうえで依頼先を決めることが大切です。
・フィルム施工専用ブースを完備している
・さまざまなフィルムが用意されている
・ガラスコーティングなど他の施工も同時にできる
各ポイントの詳細について解説していきますので、専門店への依頼を検討している方は参考にしてみてください。
フィルム専用カットマシーンを完備している
カーフィルムは車種や施工箇所によって形状が異なるため、合わせてカットすることから始めていきます。型取りした後に手切りして準備するお店もあれば、フィルム専用カットマシーンを完備しているお店もあります。
カットマシーンがあれば、毎回型取りする必要がなく、機械によるカットのためキレイな直線や曲線でフィルムを準備できます。また、データ入力するだけで準備できるため、施工時間を大幅に短縮することが可能です。手切りが悪いわけではないものの、1つの判断基準としてチェックしてみましょう。
フィルム施工専用ブースを完備
ごみカミを防ぐうえで欠かせないのが「フィルム施工専用ブース」です。他の作業と同じブースで作業していないか、倉庫のようなホコリの舞いやすい場所で作業していないか、お店の設備をチェックしてみましょう。
一概には言えないものの、相場よりも明らかに費用が安い業者は、設備が整っていない可能性が高いため注意が必要です。
さまざまなフィルムが用意されている
カーフィルムは商品によって紫外線カット率や濃さの種類が異なります。お店でどのようなフィルムを取り扱っているのか事前にチェックするようにしましょう。
また、施工後の外観や車内の暗さをイメージするためには、商品サンプルが欠かせません。施工前にサンプルで色の濃さを選べるかどうかも依頼先を決める1つのポイントと言えます。赤外線や紫外線のカット効果を体感できる機械を設置しているお店もありますので、気になる方は事前に試してみましょう。
参考記事:【プロが解説】カーフィルムの種類と透過率ごとの見え方について
ガラスコーティングなどと同時に施工が可能
カーフィルムだけでなく、カーコーティングなども取り扱っているお店であれば、同じタイミングで施工できるため複数のお店を行き来する手間を省けます。何か不具合があった場合もまとめて任せられます。
おすすめのカーフィルム2選
近年、DIY施工できるカーフィルム商品が数多く販売されていますが、性能や仕上がりの良さを重視したい場合は、専門店での施工をおすすめします。
ここでは、当店で施工できる2種類のカーフィルムを紹介していきますので、施工を検討してみてください。
KOBOtect Sun Block Film
コボテクトサンフィルムは、圧倒的な効果が特徴で紫外線遮断率は100%、赤外線遮断率は99%を誇ります。遮断する赤外線の波長範囲も他社製品と比べて非常に広く、ジリジリとした熱光線から車内を守ります。
・TSM-N5S:透過率5%
【ミラーシリーズ】
・TSM-50M:透過率50%
透過率5%は、外から車内の様子が全く見えず、車内もかなり暗くなります。15%は外から中の様子がほとんど見えず、若干車内も暗くなります。30%は外から車内の人影が確認できる程度で、車内の暗さは施工前とほとんど変わりません。カーフィルムの特徴については下記記事を参考にご覧ください。
100%紫外線カット(UVカット)カーフィルムの特徴をIICが解説
赤外線(IR)カットフィルムの効果とカット率の違いをプロが徹底解説
カーフィルムの断熱効果について
Sylphide
シルフィードフィルムも、多くの専門店が扱っている高品質なフィルムで紫外線遮断率99%・赤外線遮断率92%を誇ります。コボテクトと同様に透明フィルムもあるため、フロント面への施工も可能です。
高性能でありながら、施工費用が安いこともシルフィードの魅力です。
当店では、各フィルムのサンプルを用意しており、施工前に確認したうえでメニューをお選びいただけます。赤外線カットの体感装置もありますので、気になる方はお気軽にご来店ください。カーコーティングとセットでの施工で5%割引となります。
関連記事:カーフィルム専門店が教える失敗しないフィルムの選び方
カーフィルムの貼り方に関連する2つのQ&A
カーフィルムの貼り方に関連する2つのQ&Aにお答えします。
関連するQ&A①
カーフィルムの剥がし方の注意点はある?
剥がし方の注意点としては、ガラスや付近のパーツを傷付けたり、熱で変形しないように注意する点です。
カーフィルムは窓ガラスと糊が接着する形で貼りついているので、暖めると剥がし易くなる性質があるので、カーフィルムを剥がすおすすめの方法としてはドライヤーの活用や、高温になる炎天下に車を放置してからの作業が挙げられます。
しかし、高温過ぎるヒートガンなどを活用する場合は熱変型のリスクも伴うので、注意しましょう。
また、施工してから日数がかかっているカーフィルムを剥がした際にはガラス面に糊が残る事も多くあるので、市販の糊剥がし剤を別途ご用意しましょう。
自身でカーフィルムを剥がす事にハードルを感じる場合は、カーフィルム施工に対応してるショップに依頼してください。
関連するQ&A②
カーフィルムを貼る際の液剤は中性洗剤で良い?
食器用の中性洗剤などを薄めて代用する事は可能です。しかし、カーフィルム施工専用の液剤には、水溶液が含まれており、施工時の滑りや水抜けが楽になるため、活用する事でカーフィルムを簡単にキレイに貼り付ける事が出来ます。
ここまで、当記事を読んでくださりありがとうございました。
弊社では無料の工場見学も行っていますので、気になる方は下記の工場見学予約フォームよりお越しください。
著者情報
株式会社カービューティーアイアイシー
代表取締役社長 舊役 哲史
2008年にガラスコーティング専門店の株式会社カービューテイーアイアイシーに入社
現在まで2,000台以上のカーコーティング,ガラスコーティングの施工実績を持ち、特に輸入車などの施工実績が豊富である。カーコーティングのオプション作業としてホイールコーティングの実績も豊富で様々な知識と技術力を有す。