愛車を美しい状態で保つ上で、考慮すべき重要な被害の1つが「塩害」です。
海の近くに住んでいる場合にのみ影響を受けると考えられがちですが、実際には山間部など海から遠い地域でも塩害は発生します。
「車が錆びる」という概念は一般的ですが、具体的な注意点や対策方法については理解されていない方も多いのではないでしょうか?
この記事では、愛車を塩害から保護する方法に焦点を当て、わかりやすく解説していきます。
この記事でわかること ・海のない地域で発生する塩害について |
塩害は全国各地の内陸部でも注意が必要です
塩害とは、その名の通り「塩」によって引き起こされる損傷のことです。車や建物など、海から離れた内陸部でも塩害が発生することがあります。
特に離島である沖縄などでは注意が必要ですが、海から遠く離れていても塩害の影響を受ける可能性があります。
ここでは、塩害の原因や海のない地域での被害について詳しく解説します。
塩害が発生する起因とは
一般的に、塩害は海からの潮風に含まれる塩分が、様々な場所に付着することで発生します。
自動車や建物だけでなく、農作物も影響を受けやすく、全国の沿岸地域では塩害が問題となっています。
金属製の部品を完全に潮風から守ることは難しいため、定期的なメンテナンスや予防対策が欠かせません。
海から離れた地域で発生する塩害被害
塩害は潮風だけでなく、山間部など海から離れた地域でも車に影響を及ぼします。その原因は、冬季に使用される道路融雪剤です。
冬に道路上で白い粉状のもの見かけることがあるかと思います。白い粉は道路融雪剤で、主成分の一つに「塩化ナトリウム」が含まれています。凍結を防ぐために道路に散布され、車の下部やタイヤ周りに付着することで塩害が生じます。
車における塩害の影響
※塩分を起因とする白サビの付着したメッキモール
「塩害」と聞くと、多くの人が「塩分による錆」を想像するかと思いますが、実際には他にもさまざまな悪影響があります。
・金属部品の錆による機能不全
・塗装の劣化が進みやすくなり剥がれのリスク向上
・ガラスコーティングの効果効能低下
これらの悪影響について詳しく解説します。
金属部品の錆による機能不全
塩害による1つ目の悪影響が「金属部品の錆による機能不全」です。
※融雪剤を起因とするホイールのサビ部分
車の外装は一般的に塗装されており、金属部分が露出している箇所はほとんどありません。
ただし、車の足回りは塗装されていないため、金属が露出しており、そこに塩分が付着すると徐々に錆び始めます。
各部品は一般に耐久性が高いため、すぐに機能が損なわれることはありませんが、塩分が付着したまま長期間放置すると部品が欠損したり穴が開いたりすることがあります。
※塗装剥がれが発生しているドア内
箇所によって有毒ガスが放出される可能性もあり、正常な運転を妨げ事故につながる危険性もあるため、修理が必要です。
車の劣化の一例であり、下取り時には車の価値が大幅に低下するおそれがあります。
塗装の腐食が進みやすくなり剥がれる可能性がある
※ドアノブの剥がれ
塩害による2つ目の悪影響が「塗装の腐食が進みやすくなり剥がれる可能性がある」ことです。
塩害は主に鉄素材に影響を与えますが、塗装されている部分でも問題が発生する可能性があります。
塗装の種類によって異なりますが、塩分が付着したままの状態は塗装の劣化を早めます。
飛び石の影響を受けやすい前方部分などは、特に注意が必要です。
ガラスコーティングの効果効能低下
塩害による3つ目の悪影響が「ガラスコーティングの効果効能低下」です。
ガラスコーティングは、塗装の表面にコーティング被膜を形成することで、塩分や汚れの付着を防ぎます。
コーティング被膜は、少しの小雨や汚れには耐えますが、全くダメージを受けずにいるわけではありません。
高価なコーティング剤であっても、塩分や汚れが付着したまま放置すると被膜が劣化し、剥がれる可能性があります。
ガラスコーティングを施したからといって完全に安心とはいえません。定期的な手入れやメンテナンスが必要になります。
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塩害被害を受けやすいケース
塩害は広範囲にわたって発生する可能性があると解説しましたが、特に以下のような場合に対策が不可欠です。
・海岸付近に出掛けた場合
・融雪剤がまかれている道を走行した場合
このようなケースでは潮風や融雪剤により、ボディに塩分が付着する可能性が高まります。
それぞれのケースにおいて、どのような対策が必要なのかについて解説していきます。
海岸付近に出掛けた場合
海水浴や釣りなどで海岸近くを長時間走行・停車した際には、車のボディに塩分が付着します。
特に雨の日や風の強い日は、塩分がより付着しやすくなりますので、帰宅後には車を洗車するよう心がけましょう。
付着した塩分は、泥や砂と混ざっていたり、結晶化して固まっていたりすることがありますので、なるべく優しく洗車する必要があります。
融雪剤がまかれている道を走行した場合
融雪剤が道路に撒かれた道を走行した場合でも、洗車をして塩分を優しく洗い流します。
融雪剤に含まれる塩分は、車のホイール周りや底部に付着していますので、特に下部にも水を十分にかけて洗い流すようにしましょう。
塩分は汚れと結合して固着している場合がありますので、高圧洗浄機を使用することが望ましいです。
手洗い洗車を専門店に依頼する場合は、「雪道を走行したので、特に下部やホイールの洗浄を重点的にお願いしたい」と事前に伝えると良いでしょう。
車の塩害被害を防ぐ方法
融雪剤が使われた道や海岸付近を走行した場合の対処方法について説明しましたが、塩害は少しずつ車のボディに悪影響を与えていきますので、日常的に対策が必要です。
下記では、車の塩害を予防するための4つの方法について解説します。
できるだけ早く洗車を行う
塩害に限らず、車の外観を美しく保つ最も有効な方法は洗車です。
ボディに傷や汚れが付着するのを防ぐためには、塩分や汚れを長期間放置しないことが重要です。
車が汚れていると感じたら、できるだけ早く洗車を行うようにしましょう。
参考記事:車の洗車方法をプロが徹底解説8ステップで誰でもプロ洗車できる
ホイール周辺や車の車底に付着した汚れを高圧洗浄機で洗い流す
塩害は主にホイール周りや車の車底に影響を与えるため、洗車時には高圧洗浄機を使用してしっかりと固着した汚れを取り除く必要があります。
通常は見えにくい車底も、高圧洗浄機を使用して丁寧に清掃していきます。
足回りについても、ホイールだけでなくその周囲に付着した汚れも、しっかりと水をかけて洗い流してください。
ボディにガラスコーティングを施工する
塩害を防ぐ最も効果的な方法の1つは、ガラスコーティングを施すことです。
コーティング被膜が表面に形成されることで、塗装に塩分や汚れが付着することを防ぎ、また汚れが固着するのも防ぎます。普段のお手入れも水洗いで簡単に洗車できるようになります。
さらに、撥水性が向上するためボディの水拭きも容易になり、拭き傷が入りにくくなるでしょう。
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ホイールコーティングを施工する
コーティングと聞くと、車のボディやウインドウに施工するイメージが強いですが、実は車の下回りにもコーティングを施すことが可能です。
塩害対策用のコーティングもあり、錆による劣化を防ぎやすくなります。
さらに、汚れが溜まりやすくお手入れが大変なホイールに関しても、専用のホイールコーティングがあります。
当店では「SystemX WHEEL」というホイール専用のコーティング施行を行っています。
SystemX WHEEL(セラミックコーティング)は約3年の耐久性を持ち、溶剤による剥離の心配が少なく、耐熱温度や汚れ防止にも優れています。
輸入車は国産車に比べ、ブレーキダスト等の鉄粉が発生しやすい傾向がありますので、ホイールコーティングを施工することが有効といえます。
当店のYouTube公式ページでは、ホイールコーティングの手順や注意点を詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。
参考になる動画:ホイールコーティング剤のやり方(施工方法)をプロが解説|ガラスコーティング剤,洗車用品店のIICショップホイールコーティング剤のやり方(施工方法)をプロが解説
塩害被害を予防できるカーコーティング
一口にカーコーティングと言ってもさまざまな種類があり、特徴や魅力が異なり、一般的に良質なコーティングは「被膜が固く、厚く、劣化しにくい」ものとなります。
塩害対策に最適であり、美しい艶をボディに付与できる当店でおすすめのコーティング【SystemX/システムX】を紹介します。
おすすめのカーコーティング①
【SystemX/システムX】
SystemXはアメリカの航空宇宙産業に特化している特殊コーティング研究開発会社によって生まれたセラミックコーティングです。
驚異的な強度を持ち、9Hという最高被膜硬度と22ミクロンという厚みで他のコーティングにはない強い被膜を形成することができます。
耐薬品性にも優れ、アルカリ性や酸性物質だけでなく、塩害からも車体を保護します。
また、深みのある艶だけでなく、長期間にわたってその艶を保ち続けることが可能です。
セルフクリーニング効果も高く、わずかな雨でも汚れを自然に洗い流すことが可能です。
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融雪剤や砂埃が付着した車の洗車方法
愛車をキレイに保つためには、定期的な洗車が欠かせません。
ただし、適切な方法で行わないと洗車が手間となったり、かえって車に傷を付ける可能性があります。
この記事では、誰でも簡単に実践できる正しい洗車方法について紹介します。
洗車が初めてで手順が不安な方には、解説動画もご用意していますので、ぜひ参考にしてください。
YouTube動画:プロが特別な道具を使わずに本気の洗車やってみたプロが特別な道具を使わずに本気の洗車やってみたプロが特別な道具を使わずに本気の洗車やってみた
足回りの洗浄から行う
洗車をする際には、まず車の足回りから洗浄を行います。
特にホイール周りはよく汚れるので、丁寧に水をかけて汚れを落としていきます。
汚れを洗い流した後は、中性洗剤を使用して丁寧に洗っていきます。
ホイールがかなり汚れている場合は、油汚れなどに効果的なアルカリ性のクリーナーを使用すると良いでしょう。
通販商品:SCHILD®ホイールクリーナー
アルマイト処理が施されたホイールはシミができやすいので、中性洗剤を利用することが重要です。
当店では、頑固な汚れを簡単に取り除くことができるホイール用クリーナーや、ホイールを保護するためのコーティング剤も取り扱っています。
通販商品:SCHILD®ホイールコーティング剤
ホイールにコーティングを施すことで、汚れが付着しにくくなり、お手入れも楽になります。
施工自体も簡単なので、DIYで対策したい方に最適です。
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シャンプーで洗う前に大量の水で融雪剤や汚れを流す
ボディを洗う際によくある間違いの1つは、「シャンプーを使う前に、ただ濡らしてすぐに洗うこと」です。
しかしボディについた砂や汚れが引きずられ、車の塗装面にタオル傷がつく恐れがあるので注意しましょう。
最初に、上から下に向かって大量の水を使って融雪剤の汚れを洗い流します。
洗車専用の高圧洗浄機があれば理想的ですが、使用する際はできるだけボディに近づけすぎないように注意してください。
飛び石の影響を受けた塗装がさらに傷ついたり、グリルが破損する可能性があります。
ボディを中性シャンプーで優しく洗う
大量の水で汚れを洗い流した後は、ボディを中性シャンプーで優しく洗っていきます。
特にコーティング施行車の場合、酸性やアルカリ性の洗剤で強くこすると被膜が劣化してしまうため注意が必要です。
コーティングを施工した車の場合、酸性やアルカリ性の洗剤を使って強くこすると、コーティング被膜が劣化する可能性があるので、慎重に行う必要があります。
上から下の順で洗った後は、泡を流していきます。
クロスで優しく水分を拭き上げる
泡を洗い流した後はマイクロファイバークロスで優しく水分を拭き上げていきます。
日頃から洗車をしている人の場合、同じクロスを何度も使う方が多いですが、ボディ、エッジ、ホイール用にそれぞれ別のクロスを用意し、使い分けましょう。
エッジやホイールは汚れが残りやすく、クロスがすぐに傷んでしまうので、ボディ用のクロスが古くなったらエッジやホイール用に回すと良いでしょう。
窓にはマイクロファイバークロスを使用し、最後に固めの布で乾拭きするとキレイになります。吸水力が高く、傷防止機能のあるクロスを選ぶと良いです。
当店では、普段の洗車におすすめのマイクロファイバークロスを販売しています。
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コーティング施工車の洗車方法については、当店のコラム情報で紹介していますので、ぜひ参考にご覧ください。
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コーティングした車の正しい洗車方法と手順をプロが徹底解説
車の塩害被害に関するQ&A
塩害に対するコーティングの効果や値段、塩害対策の方法に関する内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。
どの種類のコーティングも塩害対策に有効ですか?
どの種類のコーティングでも塩害に対する効果が期待できますが、カーワックスなどの油脂性のコーティングは被膜が柔らかく、主に艶を重視したものです。
そのため、効果がすぐに薄れることがあります。
※楽天サイトから引用:カーワックスとポリマー系コーティングの画像
ポリマー系(樹脂系)コーティングも、ワックスよりは耐久性が高くなりますが、長期的なボディの保護には限界があります。
艶や光沢を求めるだけでなく、強い耐久性や耐薬品性を求める場合には、ガラスコーティングやセラミックコーティングが最も適しています。
コーティング効果はどれくらい続きますか?
コーティングの効果持続期間は種類によって異なります。
ただし、コーティングの持続期間は車の保管環境やお手入れ頻度に大きく影響されます。
メンテナンスを定期的に行っている場合は5年以上の効果を実感する一方で、青空駐車場に長期間放置し、メンテナンスを怠ると3年持たない場合もあります。
適切なコーティングを選ぶためには、専門店のスタッフに使用環境などを詳しく伝え、最適な商品を提案してもらうことが重要です。
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塩害対策に車カバーは効果的ですか?
車のカバーは、塩害だけでなく花粉や黄砂からも車を保護する効果があります。
数日間使わない時にカバーをかけるだけでも効果があります。ただし、車のカバーは固い素材が多く、強く引っ張ると車に傷がつく可能性があるので注意が必要です。
カバーを使う際は、洗車後にかけることを心がけ、優しく取り扱うようにしましょう。また、風の強い日にはカバーがはためいて車に傷がつくリスクが高まるため、避けた方がいいです。
海辺の塩害はどのくらいの距離まで影響しますか?
一般的に海岸から2km以内が塩害の影響を受けやすい地域とされていますが、地域によって範囲は異なります。
台風の影響下では、海風によって塩害が10km以上に及ぶこともあります。 また、山間部など海風が届かない地域でも、塩害が発生することがあります。
冬に道路凍結の危険性がある地域では、融雪剤として塩化ナトリウムや塩化カリウムが使用されます。
まとめ
車の塩害は海岸地域だけでなく、冬の山間部などでも起こります。
最も効果的な対策は洗車であり、汚れが付着したら早めに洗浄することが重要です。
特にホイール周りや車底が塩害によって影響を受けやすいため、たっぷりと水を使って塩分を洗い流すように心がけましょう。
塩害を防ぎ手入れを簡単にするためには、カーコーティングがおすすめです。
強固なコーティング被膜が汚れの付着を防ぎ、洗車を簡単にしてくれます。
著者情報
株式会社カービューティーアイアイシー
代表取締役社長 舊役 哲史
2008年にガラスコーティング専門店の株式会社カービューテイーアイアイシーに入社
現在まで2,000台以上のカーコーティング,ガラスコーティングの施工実績を持ち、特に輸入車などの施工実績が豊富である。カーコーティングのオプション作業としてホイールコーティングの実績も豊富で様々な知識と技術力を有す。