「イオンデポジット」は、愛車をキレイに保つうえで多くの人が一度はお悩みになるのではないでしょうか。少し放置しただけでも付着してしまい、固着してしまうと洗車だけでは落とせなくなります。特に濃色車ではイオンデポジットが目立ちやすく、多くの方が頭を抱える原因の一つです。
近年では、さまざまなイオンデポジット除去剤が販売されていますが、値段や特徴が多種多様で、どれを選べばいいのか迷う方も多いでしょう。
この記事では、コーティング専門店で働くプロが厳選した、おすすめのイオンデポジット除去剤を解説します。また、使用前に知っておきたい除去剤の危険性や注意点についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
イオンデポジットの正体と効果的な成分
イオンデポジットは、水滴が蒸発する際に残ったミネラル分やカルシウム、マグネシウムなどが塗装面に固着してできる白いシミです。硬水地域や酸性雨が多い環境では特に発生しやすく、固着すると通常の洗車では除去が難しくなります。
イオンデポジットに効果的なのは酸性成分です。無機酸塩やキレート酸が特に有効で、ミネラル分(アルカリ性)を化学的に分解し、塗装面から取り除きやすくする働きを持っています。
水垢など、似た症状の対策グッズとしてアルカリ性成分の除去剤もありますが、イオンデポジットはアルカリ性であるため、同じ性質の除去剤は効果が薄いことについて理解しておきましょう。また、後ほど詳しく解説しますが、除去剤は成分が強いため、取り扱いには注意が必要です。
イオンデポジット除去剤の種類と特徴
症状に応じた最適なイオンデポジット除去剤を見つけるには、除去剤の種類やその特徴について理解しておく必要があります。
ここでは、主なイオンデポジット除去剤の種類やどのような症状に最適なのか解説します。
微粒子入り(コンパウンド)タイプ
微粒子入りのイオンデポジット除去剤は、物理的に塗装面の汚れを削り取るタイプです。主にコンパウンドが含まれており、頑固に固着したイオンデポジットに対しての高い除去力が特徴です。塗装表面の凹凸を整えながら汚れを除去できるため、特に長期間放置されたシミに最適です。
一方で、微粒子入りタイプは塗装面に直接研磨を行うため、コーティング施工車への使用は避けましょう。また、強くこすりすぎると傷になる恐れがあり、広範囲を一気に作業できないといったデメリットがあります。
初期段階の軽度なイオンデポジットに対しては、酸性タイプの除去剤の方が負担が少なく効率的と言えるでしょう。
酸性タイプ
酸性タイプのイオンデポジット除去剤は、化学成分で汚れを分解することで効果を発揮します。主成分として無機酸塩やキレート酸などがあり、ミネラル分やカルシウムを中和・溶解する働きがあります。そのため、初期段階の軽度なイオンデポジットや、広範囲にわたる汚れの除去に最適です。
酸性タイプは微粒子入り(コンパウンド)タイプと比較して、物理的な研磨を行わないため、塗装面への負担が少ないことが特徴です。全体に塗り込むだけであるため、ボディ全体のシミなどを除去するのに適しています。
ただし、頑固に固着した後期のイオンデポジットには効果が薄く、一度の作業では取り切れないことがデメリットと言えるでしょう。また、酸性成分は塗装やメッキ部分に影響を与える可能性があるため、ボディが濡れた状態で使用し、作業後はしっかりと洗い流すことが重要です。
コーティング施工車対応タイプ
コーティング施工車対応タイプのイオンデポジット除去剤は、コーティング層を傷つけずに汚れを除去できるように設計されています。主に中性成分や、酸性・アルカリ性を緩和した穏やかな成分が含まれており、化学的に汚れを分解することで効果を発揮します。
酸性タイプは強力な成分でミネラル分を分解するため、コーティング層に影響を与えるリスクがありますが、コーティング施工車対応タイプはそのリスクを最小限に抑えるよう配慮されています。また、物理的に汚れを削り取る微粒子入りタイプとも異なり、塗装面の研磨を伴わないため、コーティング層を保護しつつ作業が可能です。
このタイプは、初期段階のイオンデポジットや、水垢除去後のコーティング層を守りながら作業を進めたい場合に最適です。ただし、頑固に固着した汚れには効果が薄いと言えるでしょう。
専門店のプロがおすすめするイオンデポジット除去剤
コーティング専門店では、下地処理の1つとしてイオンデポジットや鉄粉の除去作業を行います。ボディの状態に合わせて除去剤を使い分け、塗装への影響を抑えつつ効率的に取り除いていきます。
ここでは、経験豊富な当店のスタッフがおすすめする、イオンデポジット除去剤を2つ紹介していきます。施工性が良く効果も高いため、ぜひお試しください。
SCHILD®イオンデポジット除去剤【コーティング車対応】
SCHILD®イオンデポジット除去剤は、無機酸塩やキレート酸を主成分としており、カルシウムやケイ素などのミネラル分を化学的に分解し、塗装面から簡単にに取り除けます。
研磨剤を含んでおらず、塗装面に細かな傷をつける心配がなく、コーティング施工車にも対応しています。施工方法も簡単で、洗車後の乾いた塗装面に本液を薄く塗布し、30秒放置した後に再度塗布し、水拭きで拭き取るだけで作業が完了します。
・SCHILD®イオンデポジット除去剤の詳細はこちら
SCHILD® 水垢除去剤(微粒子配合タイプ)
SCHILD® 水垢除去剤(濃色車専用)は、ケイ酸塩・界面活性剤・超微粒子研磨剤を主成分としており、通常のシャンプー洗車では落としきれない汚れやイオンデポジットを取り除き、クリアな輝きを取り戻します。
作業方法は、洗車で塗装面の汚れを落とし、付属のスポンジに本液を取り、濡れた塗装面に優しく塗布します。その後、水でしっかり洗い流し、最後にマイクロファイバークロスで水分を拭き取れば完了です。
本商品は濃色車専用のため淡色車には使用しないようにしましょう。別で淡色車商品も販売しています。
・SCHILD® 水垢除去剤(濃色車専用)の詳細はこちら
・SCHILD® 水垢除去剤(淡色車専用)の詳細はこちら
・専門店カービューティーIICのショップサイトはこちら
「みんカラ」で紹介されていたおすすめのイオンデポジット除去剤
車好きが集まる日本最大級の自動車専用サイト「みんカラ」では、愛車紹介やパーツレビューだけでなく、お手入れ商品も数多く紹介されています。
ここでは、投稿のなかでも紹介数が多く評判の高かったイオンデポジット除去剤を3つ紹介します。
VooDooRide(ブードゥーライド)|SILQ
画像引用元:VOODOORIDE JAPAN OFFICIAL SITE
カーピカイズム|ステイン&スケールクリーナー
画像引用元:カーピカイズム ステイン&スケールクリーナー300ml (酸性)|Amazon
カーピカイズム ステイン&スケールクリーナーは、洗車上級者向けの強力なスケール汚れ除去剤です。無機スケールやイオンデポジット、シリカスケールなど、洗車では落としきれない頑固な汚れを化学的に分解します。
高浸透性の液剤で、汚れにたっぷり塗布し十分に浸透させることで効果を発揮しますが、不十分な場合は繰り返し作業が必要です。使用時には劣化した塗装や特殊塗装、低品質な金属パーツ、ガラス類への影響に注意しましょう。
通販サイトAmazonでは5つ星満点中、4.3を獲得しており120あるレビューの中には「イオンデポジットや黒ずみの除去力がすごい」と効果の高さを評価する内容が多くありました。
LUXIA(ラクシア)| イオンデポジット除去剤Dr
画像引用元:LUXIA
LUXIA(ラクシア)の「イオンデポジット除去剤 Dr」は、イオンデポジットを迅速に除去するために開発された製品です。使用方法は、スプレーしてクロスで拭き取り、水で洗い流すだけで完了します。
ウィンドウガラスには使用できず、乾燥する前に必ず拭き上げる必要があります。また、撥水性コーティング施工車にも使用可能ですが、撥水性が弱くなる可能性があるため、注意しましょう。
通販サイトAmazonでは5つ星満点中、3.8を獲得しており、レビューではボディに優しくコーティング施工車でも施工可能ではある一方で、本格的な酸性タイプの商品に比べると効果は低めといった声が多い印象でした。
オートバックスの公式通販サイトで購入できるおすすめのイオンデポジット除去剤
オートバックスは、日本初のカー用品総合専門店で、さまざまなカー用品を扱っています。公式通販サイトもあり、下地処理関連のアイテムも多数販売されています。
ここでは、オートバックスの公式通販サイトで購入できる、イオンデポジット除去剤を3つ紹介していきます。※口コミ数が少ないものはAmazonのレビューを参考にしています。
リピカ(Ripica) |イオンデポジットクリーナー
画像引用元:カーワックス洗車【リピカ ripica】
リピカの「イオンデポジットクリーナー」は、車のボディに付着したイオンデポジットやウォータースポット、ウロコ状のシミを効果的に除去する製品です。鉄、アルミ、ステンレス、プラスチック、FRP、ゴムなど、さまざまな素材に対応しており、車のカラーを問わず使用可能でコーティング施工車にも対応します。
使用方法は、汚れを洗い流した後に本剤を塗布し、30秒後に擦って水で洗い流し、拭き取るだけです。使用者のレビューでは、イオンデポジットがきれいに取れたといった声が多くあった一方で、頑固なものは落ちないといった声もありました。
リンレイ|ウルトラハードクリーナー水アカ・ウロコ・ウォータースポット用
画像引用元:リンレイ
家庭用の清掃グッズを多数販売するリンレイが車用に開発したのが、ウルトラハードクリーナーです。従来の商品と比べてウロコ除去成分が140%増量しており、頑固なシミ汚れを溶解して落とします。
研磨剤は使用しておらず、車の塗装に配慮した商品です。溶剤を吹きかけて拭き取るだけであり、簡単な掃除間隔で除去作業を行なえます。1,080円という安さも大きな魅力と言えるでしょう。
通販サイトAmazonでは、2,600を超えるレビューがあり「吹き掛けるだけだから細かい場所でも作業しやすい」といった利便性や安さを評価する声がある一方で、頑固なウロコやイオンデポジットは厳しいといった内容もありました。
ソフト99|水アカシャンプー撥水プラス・ホワイト&ホワイトパール
画像引用元:水アカシャンプー 撥水プラス ホワイト&ホワイトパール|SOFT99
ソフト99の「水アカシャンプー 撥水プラス ホワイト&ホワイトパール」は、新開発のイオン性洗浄成分とクリーニング微粒子を配合し、頑固な水アカを効果的に除去できます。
洗浄と同時に強力な撥水成分がボディに密着し、水アカや洗浄成分の再付着を防止します。付属のスタンダードスポンジとコンパクトなパワースポンジの2種類を使用することで、細部や汚れがひどくこびりついた部分も効果的に洗浄できます。
商品レビューには、水垢やイオンデポジットが取れたといった内容を中心に、ついででコーティングもできる利便性を評価する声もありました。ちなみに、今回紹介した商品とは別に「ダーク&シルバ―メタリック用」の商品もあります。
「Amazon」でおすすめのイオンデポジット除去剤
最後は大手通販サイト「Amazon」で販売されているイオンデポジット除去剤の中で、特にレビューで高評価を受けている人気商品を3つ紹介していきます。
BASE|ポーチセット 簡易コーティングのような下地処理剤
画像引用元:Amazon
BASEの「ポーチセット 簡易コーティングのような下地処理剤」は、下地処理と撥水コーティングを同時に行えるオールインワンタイプの高性能ケミカルです。シリコーンレジンを配合しており、従来の下地処理剤では難しかった撥水性能を実現。水シミや軽度の傷を優しく埋めながら、滑らかな仕上がりを体感できます。
施工方法によって研磨力を調整できるため、塗装がデリケートな車にも安心して使用可能です。さらに、人体に優しい中性処方で、取り扱いや作業時の安全性にも配慮されています。
Amazonでは5つ星満点中、4.4と高評価を受けており2,200以上あるレビューでは「シミなどはもちろん傷などが目立たなくなった」といった声が多数ありました。中古車向けの商品と言えるでしょう。
DETAIL ARTIST|KEEP
画像引用元:Amazon
DETAIL ARTISTの「KEEP」は、酸性(pH3)で設計され、洗車や日常的なメンテナンスに適したクリーナーです。軽度のイオンデポジット除去やミネラル汚れの予防に効果を発揮し、高温環境でもシミができにくい高い安全性が特徴です。
原液でpH3.2、30倍希釈でpH3.4、300倍希釈でpH3.8と、汚れの種類や状況に応じて濃度を調整できるため、多用途に活用可能です。また、爽やかなシトラスの香りで作業中も快適です。特に、軽度の汚れや日常的なイオンデポジットの予防に力を入れたい方に最適な商品と言えるでしょう。
Amazonでは5つ星満点中、4.3と高評価を受けており400以上あるレビューでは「匂いもよく、洗車好きにおすすめ」といった内容が多い印象でした。
ソフト99|コーティング施工車リフレッシュクリーナー
画像引用元:SOFT99
ソフト99の「コーティング施工車リフレッシュクリーナー」は、プロ施工のコーティング被膜に発生した水アカや雨ジミを優しく除去する専用クリーナーです。非常にマイルドな洗浄成分を配合しており、コーティング被膜へのダメージを抑えながら、表層の汚れのみを効果的に落とします。
さらに、ケイ素系樹脂やWAX成分を含み、汚れを除去すると同時に新たな被膜を形成。光沢や撥水性能を復活させ、コーティング被膜の補強効果も得られます。全塗装色対応の中性処方で、水性タイプのため取り扱いも簡単です。価格も1,182円と手頃で、コストパフォーマンスの高さが魅力です。
除去剤を使ったイオンデポジット除去作業の流れ
イオンデポジットを除去する際は、まず大量の水を使ってボディ表面の砂埃を洗い流します。この工程を省くと砂埃が傷の原因になるため、必ず行いましょう。その後、カーシャンプーを使ってしっかりと洗車を行いますが、洗車後のボディは拭き上げず、濡れた状態のまま作業に進むのが一般的です。
除去剤の使用方法は、成分のタイプによって異なります。浸透させるタイプの場合は、除去剤をボディ全体に均一に塗り込むように広げ、所定の時間放置して成分をしっかり浸透させます。一方、物理的にこするタイプは、専用のクロスやスポンジを使用し、力を入れずに円を描くように優しく汚れを落とします。点で力をかけると傷の原因になるため注意が必要です。
最後に、上から下に向けて水でボディを洗い流し、除去剤を完全に取り除いて作業完了です。この手順を守ることで、塗装への負担を最小限に抑えながらイオンデポジットを効果的に除去できます。
関連記事:イオンデポジットの落とし方をプロが解説|おすすめの除去剤も紹介|カービューティーIIC
使用前に理解しておくべきイオンデポジット除去剤の危険性と対処方法
イオンデポジット除去剤を使用する際は、成分の影響に十分注意が必要です。酸性やアルカリ性の強い成分はシミを除去する一方で、塗装表面のクリア層を傷める可能性があります。
また、作業後に成分がボディに残ると変色や劣化を引き起こす恐れがあるため、使用後は上から下に向かって大量の水で丁寧に洗い流しましょう。乾燥はシミの原因となるため、作業中は全体に水をかけてボディを湿らせておくことが大切です。
さらに、コーティング施工車では被膜が剥がれるリスクがあるため、使用する除去剤が適切か確認し、説明書の放置時間を守る必要があります。成分が肌に刺激を与えることもあるため、手袋を着用して安全に作業を行いましょう。
イオンデポジットが消えない場合はコーティング専門店に依頼するのがおすすめ
イオンデポジットやシミが固着して除去剤でも取れなくなった場合は、専門店への依頼を検討するのがおすすめです。長期間放置したシミは、軽減できても凹凸が残るケースがあり、これを解消するには研磨作業で表面を磨く必要があります。
ただし、塗装表面のクリア層は削れる量に限りがあるため、繰り返しの研磨はリスクが伴います。そのため、研磨後は再びイオンデポジットが発生しないようにコーティング施工を行い、こまめなお手入れで対策するようにしましょう。
カーショップでは研磨やクリーニングに限定したメニューを提供しており、専門店に相談すれば磨きやコーティングを含めた総合的な対応をしてもらえます。塗装の美観を保つためにも、適切にプロの技術を活用するのが安心です。
関連記事:車のコーティングおすすめ専門店9選と後悔しない8つのチェック事項
おすすめの除去剤でイオンデポジットを除去して愛車をキレイな状態を保とう
イオンデポジットは、水道水などに含まれるミネラル分が乾燥することで発生します。そのまま放置すると固着してしまい、塗装表面に悪影響を与えるため早めに除去しましょう。
イオンデポジット除去剤には、酸性成分で化学溶解させるものや、微粒子により物理的に磨いて落とすタイプがあります。今回紹介した商品は、どれも高評価を得ている除去剤ですので、ぜひ普段のお手入れで試してみてください。
除去できた後は、そのままにするのではなくコーティング施工するなどして、キレイな状態を保ちやすくしましょう。近年はDIY向けのガラスコーティング商品も多数販売されています。
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著者情報
株式会社カービューティーアイアイシー
代表取締役社長 舊役 哲史
2008年にガラスコーティング専門店の株式会社カービューテイーアイアイシーに入社
現在まで2,000台以上のカーコーティング,ガラスコーティングの施工実績を持ち、特に輸入車などの施工実績が豊富である。カーコーティングのオプション作業としてホイールコーティングの実績も豊富で様々な知識と技術力を有す。